危篤
「はい。こちら虫咬寺です」
『ああ、いつも世話んなってるねぇ。ちょっとこっちこれるかい?』
「…えーと。どちら様ですか?」
『蛇神、子狐。教えてやりな』
「……アカメさんの御婆様!?」
『はっはっは。まぁそんなところだろうねぇ』
「はじめまして。龍川凛です」
『噂には聞いてるよ。こちらこそよろしくねぇ』
「よろしくお願いします。で…ご用件は?」
『ああ、ちょっとあの阿呆が危篤でね。顔見とくかい?』
「…………はぁ!???」
『危篤、だよ。聞こえなかったかい?』
「い、いやいやいやいやいやそういうんじゃなくてですね!?」
『阿呆は死ななきゃ治らんっていうがホントに死ぬとはねぇ』
「死…!???」
『ああ、死にかけか。まだ生きてはいるさ』
「あ、アカメさんって死ぬんですか!?」
『はっはっは。そう思うだろうねぇ。あの子自身もそう思ってるんだから』
「は、はぁ。だってアカメさんですし…」
『あれは霊じゃない。死んだことはない命の宿った体だよ。死にもするさ』
「え…っと?」
『それをあの阿呆は知らない。死なないと思ってるから無茶ばかりするのさ』
「教えてあげればいいじゃん!!」
『これはこちら側の問題さ。人間が口出ししなくていいんだよ』
「……」
『ま、それで御見舞いでもするかい、と思って声をかけたのさ』
「します。いきます。連れてってください」
『即答、か。良い子だねぇ。こちら側を知らないわけじゃあるまいに』
「関係ないですね」
『そうかい。ほんと人間にしておくには勿体ないね。それじゃ迎えを寄越すよ。じゃあね』
いや、大丈夫だろ
俺が死ぬ?
そんな、まさかなぁ




