敵
人が死ぬのなんかどうでもいい
腐るほど死ぬし、腐るほど生きてる
死ねば俺の管理下になるだけで
生きていてくれとも死ぬなとも思わない
だが、こいつらは別だ
俺と個人の付き合いがある
死んでも変わらねぇけど
死んだら対等ではない
こいつら本人だとも思えない
けど
「名にかける、か」
覚悟くらいわかる
こいつには珍しく怒りも感じる
本当に、負けるくらいなら死ぬほどに
勝って生きるために負けられねぇんだろう
「赤眼」
「赤眼じゃねぇよ。名を呼べ」
なら、俺は俺のできることを仲間のためにしてやるだけだ
「…鬼叉羅銀」
「おう」
「力を貸してくれ」
「どうなっても知らねぇからな」
「ああ」
体を形成させる力を溶かす
重力や痛みが消え、いつもの浮遊の感覚に
で、これで?
どうすんだよ
とりつくってどうやんだよ
乗る?
入る?
いや、どうなんだろ
「乗っ取るんですよ。魔王サマ」
あ?
「支配し、我がものとし、食い荒らすかのように。わかりますか?」
……ああ
わからねぇけど
知ってるよ
お前ら悪魔のやり方だ
「ハイ。あなたサマは、どちらかといえばワタシたちに似てますからねぇ」
うるせぇな
いちいち一言多いんだよ、お前は
じゃあ、そんなかんじでやってみる
「はいはい。いってらっしゃいませ。最高の娯楽をお願いしますねぇ」
心で1度謝る
今から俺は、薙を殺す
それで死なないかはあいつ次第だ
うまく、いったか?
…いったのか?