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呪い 終
知らない何かだ
俺はコレを知らない
「なんだ。お前」
霊じゃない
肉体がある
なのにこちら側の目じゃないと写らない
じゃ妖怪か?
いや、姿を消してるわけでもない
そこにいて
体があって
なのに見えない
こいつは何をした
あの山の恨みの主をこいつは消した
俺と同じように
だが俺に勝る力だ
俺には、あの強大なやつを一瞬で消し飛ばすことはできない
なんだ こいつは
頬を汗が伝う
勝てるビジョンが浮かばねぇ
「ナキリ」
そいつはそう言った
村人の感情が動く
畏れ
怒り
畏敬の念が多い
こいつが龍?
馬鹿な
そんな次元じゃねぇだろ
「おまえ…」
指先がこちらをむく
咄嗟に動くも全身を砕かれるような激痛が走った