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魔王の手帳  作者: Karionette
第九章 人柱
171/219

呪い4

みなさん

お久しぶりですね

ワタシが誰か覚えていますか?

いえいえ

期待してないのでご安心を

きちんと名乗りますとも

ベリアルですよ

ご無沙汰しておりますねぇ


さてさて

暫く静観を続けていたワタシですが、楽しいことになっていたので出てきましたよ


例の呪いの集合体

恨みの集合体

まぁなんとでも言えますが、とりあえず簡略化してアレと呼びましょうか


アレは特殊肉体である主サマを狙ったようですが、偶然にももっとオイシイものを見つけたようですねぇ


あの剣の娘

違う血の名前をした虫けらです


まぁまぁ

呪い子やら忌み子やらと言ってましたが、要は呪い恨みの塊であるアレには相当美味に見えたのでしょう


いやはや、愚鈍の極まりですねぇ


あれはまずいですよ

なにせワタシにすら歯向かう愚か者ですからねぇ

何故そんな愚行ができるか

あの虫けらは虫けらと呼ぶことすら危険な生き物だからですよ


あれの加護は重い

危険ですねぇ

なにせ異界に渡っても無影響なほどですから

人の住めない場所で無傷生還するほどですから


さてさて

あの魔王サマとやらはそれにお気づきなのですかねぇ


改めて

状況をご説明いたしましょう


剣の娘は襲われ、愚行にも程がありますが逃げることも戦うこともしませんでした

愚行では、ありませんがねぇ

結果論ではありますが


それに反応したのか、主サマはもはや意味不明なほどの味方を引き連れてアレを引き止め、妖怪人間はその結界術を攻撃に転じました

そしてその隙に魔王サマがアレの作り出した迷界から全員を引きずりだそうとしました


お1人ずつ評価しましょうか


まずは主サマ

どれだけ味方引き連れてるというか取り憑かれてるというか

もう霊界のアイドルですね、はい

さすがにワタシとてあの数に群がられたら気持ち悪いですよ

しかも全員が一瞬で主サマに協力するとは

いや、はや……なんというか

奇妙な生き物ですね、はい


次に妖怪小娘

ワタシは少しだけ認めました

あのミジンコ程度の生き物は敵になりうると

妖怪の総大将から得たものと魔王サマから得たもの

性格上そのようにはならないとしても、脅威度で言えば剣の娘と比較になりませんねぇ

もしも妖怪共がワタシたちと戦争するというなら少しだけ留意せねば

守りと攻撃を兼ねそろえ、妖怪総大将直伝の瞬間移動さえあるのですからねぇ


最後に魔王サマ

はい、よくできましたね

生身ですからね

それであの早さならよくできましたでしょう

全員をきちんと守る気でしたし


評価はここまでとして


その水の地は特殊です

この世のものでは無いものの地と言っても良いでしょう


迷界は砕け、主サマたちもアレも全員がその場に姿を現しました

いやはや、悲鳴をあげる虫けらどもは愚かですねぇ

声を上げたところで助かるわけでもないでしょうに

そもそも、そこの虫けらたちはアレのようなものを退治するのではなかったのですかねぇ?

役立たずといいますか、無駄な生き物といいますか…


まぁ、いいでしょう


圧巻でした

山は鳴り、崩れ、木々がへし折れなだれ込む

地震も雨もないのに異常事態ですね

あれは良かったです

派手な演出でしたね


アレの姿も見事に可視化され、土や木で出来上がった姿は、人間のそれとおなじ

屈辱的でしょうね

恨みつらみが強すぎて、それと同じ姿となるなんて

愚かで滑稽

なんともくだらなく面白いですねぇ

これだから傍観者はやめられません


まぁ、止めなければならない事態になったのですが


迷界から全員を引きずり出した魔王サマ、アレを抑える主サマと妖怪小娘

ほぼ無抵抗な剣の娘にアレは手を伸ばしました

呪いの塊のアレの手を魔王サマは吹き飛ばします

しかしながら、それで止まるほど弱くはなく

本来触れれば死ぬような代物が生身の人間へと向かいました


しかしながら


ええ


ご想像の通りです




アレは消滅しました

遺恨も言葉もなく

塵のように

灰のように

元より存在しなかったかのように


さてワタシは傍観者に戻りましょう


あれが











なんだ

こいつ




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