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魔王の手帳  作者: Karionette
第八章 元凶編
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水の村6


「あずみ!そんなに怯えるなよ」



そんなこと言われたって

うちには見るもの全部知らなくて…



「大丈夫だよ。ぼくらがいるだろ?」



…そうだけど



「その中でもぼくは負けたことの無い御堂家だ!安心して。ぼくが絶対守るから」






「友達、か」



呟くなーくんに、うちは無言で頷く。

あの頃のなーくんはもういないのだ。




「何故私に記憶がない」




「この場所は特殊なの。ここから出ていくと、この場所での記憶は消える。

なーくんも以前ここに来てそれから出て行ったから記憶もないんだよ」


「仕組みについては後で聞こう。何故私はここに来た」



「…それは、言えない」



「……そうか。なら質問を変える。この場所はなんだ。なんの目的で存在している」



「それよりさ。その話し方やめない?堅っ苦しい」



「これが通常だ」



「えぇ…。じゃあ、しょうがないっか。

えっと、まずうちらも御堂家だよ。だいぶ古くからあって、負けたから分家にはなるんだろうけど。

目的はたぶん、なーくんの想像通り」




「詳しく聞かせてくれ」




「なーくんはどうしてここに来たの?というかどうやって見つけたの?」




「こちらの質問が先だ」




「…そうだね。わかった。

先祖は御堂家で、悪霊の存在を見ることができた。

そして彼らが人を襲い、死に至らしめることも知った。

だから、戦おうとして、そして負けた。

家族ぐるみで戦って、子供と旦那さんが死んだらしいよ」




「霊は、直接人は殺せないと聞いている」




「当時のことはわからないよ。

ただ生き残った先祖にとっては家族は皆殺しにされた。

精神的にそうなったのか、事故死なのかはわからないけどね」




「それで、ここができたのか」




「そうなるね。霊を放置できない。負けたままではいられない。

先祖は、悪霊のことを人の天敵だと言っていたみたいだよ」




「妖怪はどうなんだ」




「あんまり重視されてないかな。刀で斬ってどうにかなる存在は気にかけてないよ。ただ…正直、霊と妖怪の違いをわかってない部分はあると思う。どちらも敵は敵だ」




「それで、実際はどうなんだ」




「…実際、と、いいますと?」




「何をしている」




「……正直、ほとんど何もしてないよ。

うちなんて幽霊自体見たことない」




「………ん?」




「というか、うちは巫女だから。ほとんど何も知らないの」




「それでは、明澄は何をしている」




「祈る。とにかく祈る。

水と命あるものの平穏と人柱たちのためにね」






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