水の村4
「馬鹿!!!」
朦朧とする意識のなかで
群青色の眼から涙がこぼれるのが見えた
「馬鹿!ほんと馬鹿!なにしてんのよ!」
「…」
「なんとか言え!この馬鹿!」
「私の、勝ちだ、な」
明澄は動いた
私の首に手をやり、圧迫している
「だから何!?死ぬ気なの!!?」
彼女は気にもしてないらしい
「泣くな。問題、ない」
「だって、止まらない…」
「動脈は切ってない。それがわからないということは、御堂家よりも、武には乏しいな」
「は?」
私の血で染まった彼女の手をどけて、傷口をなぞる
ああ、うまくいっている
血は大量にでるだろうが命に関わるほどではない
「意味が、わからん!自殺するほど勝ちたいの!」
「勝利は譲れんが、それよりも得た物があった」
「はぁ!?」
「あと死ぬつもりは無いから自殺でもない」
「はぁ!????」
そこにあったホチキスで傷口をふさぐ
彼女は瞬時に目を逸らした
「追われているとき只者ではない、動きだった。
しかし効率的とは、いえない。御堂家には、劣る。
どこまで戦闘に重きを置いているかは、今わかった。
とりあえずは、御堂家ほどでは、ない」
「でしょうね!!自分で首切って死ぬ気ないとか言う一族とは違うわ!」
「ということは、武力ならば、あいつは負けんだろう」
ツルギが負けるほどの相手を隠されていたらわからんが
正直そんな人間を私は認めきれない
「次に、先ほどの、異能とでも、呼ぼうか…」
「もう喋るな!馬鹿」
「…さっきから罵りすぎではないか?」
「足りないくらいだよ!!」
「では…少し休む。後ほど話を聞かせてくれ」
「うん…」
眼を閉じる
だいぶ血を流したとはいえ、多少毒や薬も回ったか
休むにはちょうどいい