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昨日の夜の続き


 勉強会を終えたクロノはベッドに体を倒して休憩を取っていた。今日はデートと同時に冥獄凶醒を探索していたが手掛かりを掴むことなく今日を終えようとしている。

 

 ここの生活もまだ馴れてはいないが、ようやく体も時差には慣れつつあるようなのでこのまま少しずつ他も慣れてくれればと思いながら静かに目を閉じると、その両目に小さくて柔らかいぷにぷにしたものが当てられ、心当たりがある名を呼ぶ。


 「リフィア。今日も来たの?」


 「なんじゃせっかくこれから、だーれじゃ。とでも言って遊ぼうとおもとったのに、つまらんやつじゃ」

 

 目の前には、すでに手を引っ込めて腕組みをしながらぷんすかしているリフィアが口を尖らせて文句を言っていた。


 「つまらないとはひどいよ。それに来るならもう少し普通に来てよ」


 「普通に来たらつまらんじゃろうが。分かっておらんのクロノは」

 

 昨日もリフィアとは話をしていたがセラとフィリアが急に来てしまったので、リフィアは置手紙をして帰っており、どうせ普通に来るとは思っていなかったけど相手をしないとふてくされるとは困ったものだ。

 

 リフィアは今も僕の頭の近くで腕を組みながら魔石のような深い蒼色の目で、僕を見つめており僕もその輝く目を見ながら会話を続ける。


 「どうじゃおぬし。いろいろと慣れたか?」


 「少しずつは慣れた気がするけどまだまだだと思うよ」


 「そうじゃろうな。使徒の件もあれば、ここの環境にも慣れないとならぬからな。その他にも細かいことはあるしクロノには冥獄凶醒以外にもすることは山積みじゃ」


 「そうだね。今思うといっぱいあるんじゃないかなって思い出してきたよ」

 

 正直忘れていた。ここは女学園だから女の人しかいないんだった。今日も帰ってここまで来る時にシスターばかりに合うと思っていたらそういうことか。


 クロノは思い出したついでに今日の疲れも同時に身体中をのしかかるようにして襲ってきたので軽く息を吐くと、もう一度目を閉じる。


 「なんじゃ今日はやたらと疲れておるのか」


 「そうかもしれないね。今日はセドナ王国を見回りもしたし、買い物もそれなりにして最後は勉強会で使い果たしたかな」


 「若いくせに偉そうじゃの。まぁ、クロノは使徒じゃから一応わらわの次に偉いか。しかし話ぐらいはできるじゃろ」


 「それぐらいは出来るよ。そういえばリフィア。今日は何も持って来ていないの?」


 「今日は興味があるものがなかったから何も持って来ておらん。さて、そうしたらこっちに移動するかの」

 

 リフィアはクロノの頭の位置からお腹へと移動し、クロノのお腹を枕にする。今更だが先ほどからの行動一つ一つが可愛らしくて思わず顔を緩めてしまいそうだ。


 「おお、なかなかちょうどいい硬さの枕じゃの」


 「そりゃよかったよ。それで今日は何を話してくれるの?」


 「昨日の続きじゃが、まずはフィーちゃんのことを話についてクロノは聞いてどう思ったのじゃ」


 「どうって、フィリアがもっと力を上手く使わないといけないってことでしょ」


 「そうでもあるのじゃが、最悪供給をずっと得られればそのままでも構わないのじゃ」


 「そうなるとあの時みたいに僕が力を与えればいいのか」

 

 クロノは一度フィリアに力を分け与えた経験があり、あの時と同じようにすれば回復することになる。


 「まぁフィーちゃんもあそこまで刻印を減らしたということは、恐らくその事に気づいておる可能性が高いじゃろうが、フィーちゃんは普段から弱さを簡単に見せないようにしておるからの」


 「でも、あの時に回復したから当面は必要ないはずだし、また擦れてきたら教えてもらえばいいんじゃないかな」


 「何を言っておるのじゃ。まだ完全に回復しているわけないじゃろうが。それにもしもの時に力が抜けてしまってはどうしようもないじゃろう」


 「え? でも演習でも戦えていたし、いまは問題ないからフィリアに言われるまでは平気でしょ」


 「クロノよ。もう気付いておるじゃろ。あとは勇気だけじゃ」

 

 リフィルに説得されると、クロノは納得し自分に言い聞かせるようにその事を押し込んだ。フィリアの性格を知っているのであれば尚更だ。そして話からするに使徒とは結局そういう役割でもある。なら役目は果たさなければ。


 「勇気だけか。これはまた大変そうだ」


 「クロノにしか出来ぬし、頼りにしておるからな。それにシスター達に力を供給しまくっておったらクロノが干からびてしまうぞ」


 「それは嫌だな……」


 「クロノの為にもフィーちゃん及び他の子達もよろしく頼んだぞ」

 

 リフィルはクロノの腹から頭を浮かして帰ろうとした時に、クロノは身体を起こして、


 「リフィアはちょっと待って! 最後に聞きたいことがあるんだ」


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