デート結果
三人は買い物を済ませ学園へと戻り、今はクロノの部屋でセラによる戦略についての勉強を行っていたが、ちょうど区切りがついたので小休憩をとっている。
「それにしてもセラさんには、本当にいろいろとしてもらって申し訳ないよ」
「クロノ様。急にどうしたのですか?」
クロノの発言により、セラは思わずきょとんとしてしまう。
「だって、セラさんには今の勉強も教えてもらっているし、買い物も手伝ってもらったから今日はセラさんに頼りっぱなしだね」
「いえ、そんな。セラがしたのは軽い手伝いですから気にしないで下さい。それにクロノ様の村の子供達も喜んでくれるといいですね」
「そうだね。せっかく買ったから喜んでほしいな」
セラはクロノと話し合いながら、村の子供達のことを考えて選び抜いたぬいぐるみを数個購入し、店に村までの配送もしてもらえるように手続きをしたのだ。
「私だってクロノちゃんの為に選んだから、きっと喜んでくれるに違いないわ!」
横で本を片手に持ちながら、フィリアは自分なりに厳選したぬいぐるみに絶対の自信があるように言う。
「それはもちろんよ。フィリアの選んだぬいぐるみってお店のおススメだし、それにそれなら誰でも選ぶことができるわよ」
「違いますぅ。私の直感が選び抜いてくれたのよ。決して展示物に書かれたことを受け入れた訳じゃありません~」
「よく言うわね~。じゃあ、今度またおススメを聞いてみましょうかね~」
「次は無いので、その日は無いでしょうね」
「実質出来ないって言っているのと同じじゃないの」
フィリアは口を尖らせて否定するが、クロノは選んでいる最中にセラが選んだぬいぐるみに「ぐぬぬ」と悔しそうに唸りながら二人の近くをうろうろしているフィリアを見ていたら、急に何かを見つけると嬉しそうにぬいぐるみを選んで来てくれたので、クロノも有難く村への贈り物の一つに加えている。
「まぁまぁ、二人共それ以上言い合わないで。それに僕は二人に選んでもらっただけで充分嬉しいから」
「クロノ様が言うならこれ以上はやめておきましょうか」
「そうね。やめましょうか」
話を終え再び勉強の続きを始めていると、索敵の項目について話始めようとしたところで、ポツリとフィリアが呟く。
「結局デート中も冥獄凶醒どころか、凶すら見つけられなかったわね」
「仕方がないわよ。セドナ王国だってかなり広いし、リフィア様からのお告げもそれ程詳細ではないから、どのみち今日は進展出来ないわよ」
「確かにセラさんの言う通りだね。それにしても情報が無いのは厳しいよね。手がかりが何か見つかればいいけど」
「変な奴とかいれば可能性があるけど、だからといってそいつがそうだとは限らないから、やっぱり手がかりを見つけるしかないか」
「変な人といえば、セラは今日ぐいぐい押しの強い女性に会いましたけど」
「セラ。そんなことがあったの?」
「まぁ、ちょっと変わった人だったけど、見た感じ貴婦人って感じだったし、ちょっと興奮するとあれだけど、基本的にはいい人よ」
「でも一応、注意はしておかないと、冥獄凶醒のこともあるけどセラさんも女性だし襲われたら大変だから」
「ありがとうございます。でもセラだってやる時はやりますし、もしあの人が冥獄凶醒なら私のこの右目と服装を見れば、シスターってことが一目瞭然ですから、襲ってくるとしたら命知らずか、なにかですよ」
セラは右目の刻印を右手で覆いながら柔らかな表情で自信を持って言い返す。
「でもね。セラあの気持ち悪い奴は教会を襲撃しているから、シスターだからといっても過信しないほうがいいわよ」
「忠告ありがと。さて、今はそれよりも授業を再開しましょう」
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