次なるデート場所
結局その後もぐるりと、店内を見回ってみたが、怪しい人はおらずそのまま出口へと向かって次の場所へと歩を進め、セラの案内でやって来たのが、
「ほぇー。こんなお店もあるんだ」
クロノは物珍しそうな声を出し、入ったお店の中を不思議な高揚感を持ちながらうろついていた。
店内は先ほどのランジェリーショップと同じように女性の割合が高めだが、小さな男の子もいたりするので、クロノにとっては場違いを感じさせたのだが、先ほどよりか幾分マシな気はしている。
「ここって、どういうお店なの?」
「クロノ様。ここはぬいぐるみというものや人形を売っているお店でして、モンスターや王女様、他種族の姿を模した物を売っているのですよ」
「セラって昔からこういうお店好きよねー」
「いいでしょ別に! 可愛いし、なんか気になっちゃうのよ」
セラは展示されている商品を手に取り、感触を確認するように優しく抱きしめており、シスター服やセラの容姿も相まってその魅力がギュインと高まっている気がした。
セラの魅力マシマシのその姿を近くにいたお客達は見つめておりクロノも無理はないと思う程だった。
「確かに可愛いとは思うけどちょっと子供っぽくないかしら。…ほらっ、クロノちゃんもそう思うでしょ」
試しにフィリアもセラの様にぬいぐるみを抱いてみたのだが、確かに悪くは無いがセラのような感じはなく、むしろ少し違和感があるぐらいだ。何かが違う。
「確かにセラさんにはあるものがフィリアには無い感じがするなぁ……。あ、でも似合わないわけじゃないよ。フィリアも充分似合っているからね」
「んー。なんか付け足された感じが否めないけど、私的にも合っていないような感じがするから何とも言えないわね」
フィリアも嫌いでは無さそうだが、ぬいぐるみを抱くぐらいであればもっと違うものを身に着けていた方がその魅力がより高まりそうである。
例えば貴金属とか魔石とかかな。
「ふふん。どうやらここはセラの独壇場のようですね」
ぬいぐるみを抱き寄せながら勝ち誇るように言い放つセラの姿をじとっと見つめるフィリアだっただが、今回は何も言うことは無く「はいはい。負けました」と簡単に降伏してしまうのであった。
「これって配送とか出来ないかな。村の子供達が喜びそうだから買ってあげたいな」
「クロノ様の村の場所さえ分かれば、出来ると思いますよ」
「それじゃちょっと確認して来るよ」
「クロノちゃん。私もついて行くわ」
フィリアは何かを感じたのかクロノの共に確認しに行ってしまった。
一人残されたセラは持っていたぬいぐるみを棚に戻そうとすると、
「そこあなた! とっても可愛らしいですね!」
「わっ! びっくりした! 急になんですか?」
声がする方に振り替えると、そこには全身黒で統一され右手にはフリルのついた傘を持っている貴婦人がいた。
「驚かせてごめんなさい。つい。あなたの可愛さはとても魅力的でして私はどうしても声をかけられずにはいられなくて、つい。声をかけてしまいました」
見た目は声をかけるのもためらうぐらいの容姿だが、声をかけられてしまえば不思議と抵抗感がなくなり今では少しだけ親近感が湧いているぐらいだ。
「よかったらこれも抱いてみてはくれませんか?」
「え? あ、はい」
セラはそのまま手渡された人形を抱いてみせる。渡された人形はどこか気持ち悪い感じがしたが、まぁ悪くはないかな。
「まぁー! やっぱり可愛いですね! あら、私ったら。つい」
「気にしないでいいですよ。セラも言われて嬉しいですから」
「そうだ。セラさんにお名前をお伝えしていませんでしたね。私の名前はアルチベータと言います」
アルチベータは妖艶な笑みを浮かべながら、目じりを下げて紹介する。
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