はい。またここに来ました
「で、なんで最初がここなの?」
「だって、ここは人に興味があれば来るところでしょ。それにここならデートも出来るし! 今後の為にもなるし」
呆れながら現在立っている場所の目の前に存在するその目的地にクロノは苦笑いを浮かべていた。
「クロノ様には勘違いしてほしくないですが、セ、セラは仕方が無くですよ。……でも、フィリアの言うことに一理ありますし」
セラはクロノをちらちらと見ながら少しだけ顔を紅潮させていながらも、どうやら中へと入る気である。
無理なら無理っていえばいいのに。
それは僕にも言えることか。
そう思ってしまう場所に今は来ているのだが、実はこの系統のお店は前にも来た事があるので初めて来たときほど戸惑いはないのだが、恐らく戸惑っていることが本来の感覚なのであろう。
そんなお店であるランジェリーショップにまたしてもフィリアによって連れて来られたのである。
「クロノちゃんとは、アクアミラビリスの時にも一緒に来たことがあるし、あの時もなんだかんだ言いながら店内をうろついていたじゃない」
「まるで僕が好き好んで入って行ったみたいに言わないでよ。それにあの時はフィリアが手を離さなかったからでしょ」
「そうだっけ?」
フィリアはとぼけるように言っているが、表情から察するにしっかりと覚えているだろう。
「フィリアはなんでそんなに大胆な行動が出来るのよ。セラには理解出来ないわ」
「言っても全部見せている訳じゃないし、私の本気の身体を見せたらクロノちゃんも驚いて何をしだすか分からないし」
その本気かどうかは分からないがその身体の全てを一度見てしまっているクロノは頬を赤くして一言も漏らさない様に口を紡いだ。
「それにあの気持ち悪い奴を参考にすると、こういう場所とかに興味があるのかなとも思うし」
「確かにヴェドは人間の中でも特に女性を好んでいたし、そういう特徴を参考にするなら分かるけど今回もそうなら冥獄凶醒って女好きなのかなぁ」
確か人間に異常に興味があるってはずだからそれは無いと思うけど。
「つべこべ言っていないでさっさと買い物を進めましょう」
ぐいっとフィリアはクロノの手を引き寄せるとそれにつられてセラもためらいながらランジェリーショップへ来店する。
店内に入ると独特な雰囲気と甘い香りにより、クロノは思わずくらっと来てしまうが、ここで倒れたりしたらそれこそ大事になってしまうので、せめても目立たないようにしたのだが、
「ねー、ねー。クロノちゃん! これ新作だって! 私がこれ着けていたらどうかな? 似合うかな?」
「う、うんそうだね。とっても似合うと思うけど」
フィリアが見せつけてくる布地が少なめの店内は静かであり下着を直視できないくろのでありながら更にフィリアの良く通る声は店内にいる他のお客の耳にも伝わっていたため、適当に言葉を返すこともためらってしまう。
「せっかくここまで来たからには二、三着ぐらいは買っておきたいわね」
フィリアは気合が入っているのかクロノと手を繋いでいたのを解放して、次から次へと商品を探し回っていた。
クロノはその事に少しだけ安堵し、もう片手を繋いでいたセラもいつの間にかいなくなっていることに気がついて、店内をうろついていると、むーと、唸りながら何かを考えているセラを発見する。
「あ、セラさん。やっと見つけた」
「ク、クロノ様⁉」
セラはクロノに気がつくと急いで手に持っていた下着をガシャンと、棚へと戻して、いかにも表情だけは冷静の様にしているのだが、内心はドキドキしていた。
「どうしましたか?」
「いや、特にはないけどどこにいったのか、探していたから」
「あ、そうだったのですね。そういえばフィリアはどこに行ったのでしょうか?」
セラは自分の手元にあったそれについてクロノに問われる前に、話題を変えると、
「クロノちゃん、それにセラ。そこにいたのね」
声がした方を向くとそこには買い物袋を腕に下げたフィリアがいた。その姿を見た限りだと買い物は既に終えているようだ。
「もう買い物は終わったの?」
「ええ、そうよ。それに何を買ったかは今度見せてあげるから、クロノちゃんも楽しみにしていてね」
クロノはいつも通り「はいはい」と受け流してみたものの、先日のハニトラ対策について思い出すと急に悪寒が身体中を巡るのであった。
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