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今回は私の勝ち

「二人共お疲れさまです。セラは先ほどの結果を確認して来るので二人は武器を解除してゆっくりしていてくださいね」

 

 セラはそう言い残こすと、先ほどの模擬戦の情報をまとめに例の装置の方へと向かっていくのを二人は眺めながら見送った。


 「いやー最後はフィリアに当てられちゃったね」


 「ふふん。今回の模擬戦は私の勝ちのようね」

 

 フィリアは最後の一撃を当てられたことがかなり嬉しかったようで、対してクロノは当てられたのと同時にセラに止められてしまったので、フィリアの逃げ勝ちを許してしまった。これは正直悔しい。


 「でもクロノちゃん気にすることはないわよ。これは模擬戦だし、お互いに力を抑えて戦っていたからね」

 

 総合的に勝利したフィリアは今もはじけるような笑顔で嬉しそうにしており、その喜びが伝わっていたクロノはただただその姿を眺めるしかなかったが、やはり一言、いや二言ぐらいは申しておかないとあとで言う機会を失ってしまうから言っておこう。


 「それにしてもフィリアは、勝ち誇っているように見えるけど?」


 「それはもちろんよ。クロノちゃんにとりあえずどんな形であっても勝てたのは力を取り戻した私にとってうれしいことだわ」

 

 思い返してみれば、フィリアもあのヴェドとの戦いからは取り戻した力を確認する機会はなく今までを過ごしていたので、この模擬戦は予想以上に意義のある戦いだったようだ。

 

 その初戦に戦った相手がクロノであり、この結果になったとなれば充分満足できたのだろう。正直負けてがっかりするフィリアを少しだけ見てみたい気もするがこれはこれで良かったのかもしれない。


 「ところでクロノちゃんは、さっきの模擬戦はどれぐらいで戦っていたの?」


 「うーん。いま出せる七割ぐらいかな。慣れていないから考えながら戦っていたのと、相手がフィリアだからやっぱり本気は出せないよ」


 「まぁやっぱりそうだよね。それでも充分強いから恐れ入るわ。さすが使徒の力と言ったところね」


 「でも、フィリアも充分強かったし、出来ないけどお互いに本気で戦っていたらどうなっていたかは分からないよ」


 「そんな日は無いでしょうから、議論しても仕方がないわね。とりあえずはお疲れ様ですクロノちゃん」


 「フィリアもお疲れ様でした」

 

 二人は今回の模擬戦に区切りをつけたのと同時にセラが小走りで二人のもとに駆け寄ってくる。


 「二人共お待たせしました! 結果についてですがやっぱり今までの戦績としても上位の戦いだったらしくとっても興味深い結果となっていますよ」

 

 セラから手渡された紙を見てみると確かに記載されていた内容はぱっと見てもかなりの高得点だったことが分かる。


 「二人がイチャイチャしながらこれですから、結果としてはまだまだ伸びがあるということですね」


 「あはは……やっぱりそう見えちゃったかな。でもまだまだ強くなれるなら僕はもっと頑張ってみせるよ」


 「はい。今日は初めてでしたので今後も楽しみしております」


 「そうしたら、僕はちょっと出てくるから二人はここにいるよね?」

 

 そう言い残すとクロノはさっさと小走りで演習場から出ていってしまう。


 「お花摘みでも行ったのかしらね」


 「たぶんそうだとセラも思うわ。あとフィリア。本当にさっきはクロノ様とイチャイチャしすぎよ」


 「仕方ないわ。私達は何度も一緒に戦って来たから、どうしてもそうなっちゃうのよねー。それにこれで相性は問題ないこともセラにも伝わったはずだし」

 

 フィリアはセラをちらちらと見ながら挑発に近い牽制を何度も繰り出すのだが、そう簡単にセラは動かずここはひたすら耐えるのだと心に何度も言い聞かせシスター服をぎゅと、握り締めて耐え抜いた。


 「そうしたらフィリアはこれから模擬戦をする必要はないでしょうから、次からはセラとクロノ様との相性が良くなるまでフィリアはお休みしてもらおうかしら」


 「何を言っているの。次からは私とクロノちゃんの相性を更に高めていくのよ。だからまだまだ終わらないわよ」


 「でもそれほど相性がいいならセラ達も相性を早く高めたいけど?」


 「知ったことじゃないわ。私が早くクロノちゃんの一番になりたいの。それにセラは確かに力はあるけどクロノちゃんを寝取ろうとしたじゃない。だからセラに寝取らせないようにあの出来事をクロノちゃんに教えましょうか?」


 「なっ⁉ ひ、ひきょうよ。………そんなの」


 「ふふん。だったら今は静かにしておくことね」


 「ぐぬぬ。本当に覚えておきなさいよ」

 

 この時、セラはあのベッドでの出来事をクロノに知られてはまずいと思っていたが実際にはあの後、フィリアはクロノからベッドの上での飲み食いは禁止とキツく言われ、普段の食事のマナーの良さをクロノは感心していたのでフィリアの行動にがっかりし、そのがっかりしたクロノの表情を見たフィリアは二度とやらないと密かに心に誓っており、二人にとってあの出来事はいつの間にか黒歴史となっていたのだ。


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