状況確認を怠らないように
次の日クロノは本拠地であるラグナロク第一学園に、滞在する主要な人達を除いた現在本拠地にいる人員での話し合いに参加し現状について可能な限りを確認した。
本拠地側も他の学園との連携を取ってはいるがそれでも、未だに情報は少ないままであるということが現在の状況であり、また今後ヴェドを含めた冥獄凶醒との戦いに向けて準備を速やかに開始するということが学園の共通認識となっているようだ。
その後は軽い話し合いを終え、クロノはようやく会議室から出るとぐっと背伸びをして縮こまった筋肉を伸ばすと同時に心地よい刺激が身体中を駆け巡る。
今日は本来いるはずの主要な人物達はおらず、各自現在の仕事が片付き次第こちらにやって来るということなので、まだまだクロノが知らない人物はこれから出会うことになるのは先になった。
先ほどまでしていた話し合いの中では良くも悪くもクロノが持つ使徒の力が今までいた立場を激変させしまっていることに改めて感じるものであると同時に、少しだけ恐怖のようなものを感じてはいたが、不思議と悪い気はしていないので、与えられた役割を何度も反復して自分の中に馴染ませながら、自室へと歩を進めるのであった。
自室に戻ると、フィリアとセラが向かい合うようにしてお茶を飲みながらお互いに同じ本を手に持って何やら話合っていた。
「戻ったよ。二人共」
「あ、クロノちゃんお疲れ様。話し合いはどうだった?」
「今はとにかく情報収集と、その他諸々の準備をすることが決まったぐらいかな」
「やはり、まだ学園として行動するとしてもその段階ですよね。まだセラが知っていたところから進展するには時間がかかりそうです」
「これからさらに情報は集まるから、それで何か見つかればその時に行動することになるだろうし、何も無ければそれはそれでいいことだからね」
クロノは二人のちょうど真ん中にある椅子に座ると、セラから淹れてもらったお茶を受け取り、中身を一気に飲み干して渇いた喉を潤してから、次のやるべきことについて二人に問いかける。
「それで僕はどこから勉強すればいいのかな?」
「さっきセラとも話合っていたけどまずは礼儀作法からと戦法及び奇跡や加護の応用や、過去の各自状況に基づいた対応方法とかをクロノちゃんに覚えてもらうことになったわ」
「ちなみに他にも覚えてもらわないといけない事はありますが、セラ達もそれなりに力を持つので、今後の来るべき時の為にクロノ様やフィリアやセラも共通して覚えておかないといけない事になりまして、その為他の生徒達とは別の行動となっていますし、とりあえずこれからはこの部屋が勉強部屋にもなりますね」
「そうなんだ。でもとりあえず二人は他の生徒さん達と授業を受けられなくて残念だったね」
「全然そんなことないわ」
「全く問題ないです」
「あ、そうですか」
フィリアもセラもきっぱりと断言し、今までの授業に関してなんの未練もないようだった。
「とりあえず、私達の勉強会の人員はこれからも増えるけど、ほとんど人がまだこっちに来ていないらしいし、その人達が来てようやく本来の姿になるのよねぇ」
「だからまだ、セラ達だけでは本当に仮の状態ですので」
「そっか。そしたら人数が早く増えるといいね」
「いえ、それは別にいいわ」
「そうですね。セラもこれでいいと思います」
「でも、人が多い方がいいような気がするけど」
「面倒事も増えるので嫌だわ(です)」
これ以上人員が増えれば、面倒事が増えると二人は思っておりなるべく少数を希望していることを知りクロノは苦笑いするしかなかった。
「さてと、そうしたらさっきセラと話した結果通り、先に私が礼儀作法をクロノちゃんに教えて、あとでセラが戦法や戦略などを教えることになっているから、早速始めましょうか」
「そういうことなのでよろしくお願いしますクロノ様」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
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