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セラの策その一


 「それじゃ、クロノちゃんの悩みも無事解決したようだし、私が学園内を案内してあげようかしら」


 「まだ悩みはあるけどとりあえずそうしてもらえると助かるよ。ここって結構広いから知っているフィリアに案内してもらえればそれなりに分かりそうだからね」


 「さて、そうしたらどこから案内しようかしら」

 

 フィリアはクロノをどこから案内しようか考えていると急に腕をセラに掴まれ、その行動に少し驚きつつその掴んできたセラに問いかける。


 「急に掴んできてどうしたの。セラ?」


 「実はフィリアにも伝えることがあるのよ」


 「な、なによ。それにセラ。ちょっと顔怖いわよ」

 

 セラの不気味な表情にフィリアは少しだけ恐怖を抱いていると、遠くから何やら足音が近づいて来ると、家にいた時の様に数人のシスターがこちらに向かってやって来る。


 「セラ! あれどういう事よ!」


 「フィリアはこれから今日一日かけて検査されるのよ」


 「はぁ⁉」

 

 フィリアはセラの言葉に動揺していたが、フィリアとの付き合いが長いセラは気にすることなく話を続けた。


 「フィリアは、あの教会にそれなりの期間滞在していたから、「(まがつ)」感染の疑いがあるのよ」


 「そんなことないって。私なら平気だし、イオールのようになっていないわよ!」


 「もしもの為よ。それにこれは逃げることが出来ないから大人しく検査を受けてくることね」

 

 セラは同情する事なく、その事実だけをフィリアに伝えた。


 説明を受けたフィリアは嫌そうに表情を歪めセラに懇願する。


 「うぅ~。セラ、なんとかならないの」


 「こればっかりはダメね。「(まがつ)」の感染が本当にもしあったら大変なことになるから、ここは我慢して受けるしかないわね」

 

 クロノはフィリアが珍しく本当に嫌そうにしているので、その姿を見て軽く驚いてしまっていた。


 「でもセラさん。そうしたら、僕も検査を受けないといけないのかな」


 「いえいえ、クロノ様は今回検査を受ける必要はないと言われているのでしませんよ」


 「なんでクロノちゃんは検査しなくていいのよ!」


 「決定だからよ。さぁ観念してしっかりと検査を受けて来るのね」

 

 フィリアは、検査という言葉を聞いてから終始嫌そうな表情だったが思いついたように、


 「そうだ! クロノちゃん! 検査を受けなくてもいいから私の近くにいてくれないかしら」

 

 フィリアはクロノの手を取って珍しく必死にお願いしており、クロノもそんなフィリアの姿を見て一緒にいるだけなら、と思ったのだが、


 「ダメよ。クロノ様はこれからセラが学園を案内するんだから、フィリアは一人で検査を受けるのよ」


 「ぐぬぬぬ。ここまでがセラの策なの」


 「さぁどうでしょうね。さて、それじゃ検査よろしくお願いしまーす」


 『了解しました』


 「クロノちゃん助けて!」

 

 シスター達はフィリアが逃げない様にその腕を掴み引きずられるように検査室へと運ばれ、助けを呼ぶフィリアに対してクロノは応えようとしたが、隣にいるセラが簡単に逃がす事は考えにくく、フィリアに恐らく無いと思うが「凶」感染の疑いがあるのならばいずれ検査はしなくてはならないのでクロノはフィリアをそのまま見送った。


 フィリアもこの状況にクロノが出来ることはないと薄々感じていたが、まさかこの瞬間にしかも不意打ちでやられたことに対して、


 「セラぁぁぁああああ‼ 覚えておきなさいよぉぉぉおおおおお‼」

 

 フィリアの恨みと怒りの声が廊下に響き渡るのであった。

 

 セラはその声に気にすることも無く、


 「さて、そうしましたらフィリアに代わってセラが、クロノ様の案内をさせていただきますね」


 「よ、よろしくお願いいたします」


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