これから始まる女子学園生活
「セラさん! ここが女学園って本当なの⁉」
「ええ、そうですよ。ここはリフィア様の力をより強く持つ者達が集う我々の本拠地であるラグナロク第一学園でございます」
セラは満面の笑みでさらっと何にも悪びれることなくその事実をクロノに伝えた。
「ま………まさか、僕が初めて行った学校がまさか女学園になるとは思ってもいなかったよ」
クロノはその事実を簡単には飲み込むことが出来ず絶句してしまったが、それでも絞り出すように何とか声を押し出しセラに問いかける。
「でも、僕ってここに来ただけだから女学園でも関係ないよね」
「いえいえ、クロノ様そんなわけないじゃないですか! クロノ様はここで我々と学び、腕を競い、共に力を育む場所となるのですよ」
「だよね! やっぱりそうだと思っていたよ!」
セラに希望を打ち砕かれたが、心のどこかではセラに言われたことを思っていたので、割と早めに受け入れることが出来た。
それもこのような状況に何度も遭遇したおかげなのかもしれない。
「クロノ様は誤解しているようですがここは、実際には女学園ではないので、もしかしたらモンクが来るかもしれませんよ」
「え? でもフィリアは女学園って言っていたけど………」
「ごめんね、クロノちゃん。私の説明の仕方が悪かったね。セラも言っていたけどここはリフィアの力をより強く持つ人達が集まるところで、リフィアって女に力が出やすくて男には力が出にくいから、自然に集まるのは女になっちゃうのよね。それで今は女しかいないのよ」
「で、でももしかしたらモンクがこれから来るかもしれないってセラさんも言っていたし、可能性はあるんじゃないかな?」
「それなら全く無いと思うわよ。セラはあるかもしれないって感じで言っていたけど、私の知る限りだとこの学園にモンクがいたなんて聞いたことないし」
「やっぱり、女学園じゃないか!」
これじゃ、僕はずっとシスターに囲まれて生活しなければならないのか。正直、上手くやっていけるか自信がない。
「そんなこと言わなくていいじゃないですか。それともクロノ様は女の子が好きではないのですか?」
クロノはその潤んだ瞳と何かを願うような上目遣いを見て照れながら、
「いや………女の子は嫌いじゃないけど、やっぱり僕がここにいてもいいのかなって、ちょっとだけ罪悪感があったから………」
「そんな! クロノ様がそんなことを気にする事なんて無いのですよ! クロノ様はリフィル様の使徒であり、我々にとっても大事な存在でございます。だから、気にせずクロノ様は堂々といて下さればそれだけ充分ですよ」
セラはクロノに向かってその立場と重要性を伝え、フィリアもその言葉に同調するように頷いていた。
「そう言ってくれると、少し気が楽になったよ。ありがとうセラさん」
「そんなお礼をもらう程ではございませんよ。それにクロノ様はお優しいですね」
セラは頬を紅潮させ両手をその赤く染まった頬に当て、クロノにその赤くなった顔を見られない様にそらしているが、目線だけはクロノをずっと捉えていた。
そのまま夢中になってしまいそうだったが、急に思い出したように、
「あっそうでした。これがクロノ様の使徒専用制服になりますので、後で着替えておいてくれませんか?」
「フィリア制服ってなに?」
セラがホルダーから札を一枚取り出し、召喚された折りたたまれた黒を基調とした服を受け取ったのだが、どうやらクロノには制服という言葉に馴染みがなく理解出来ずにしているのをフィリアが察する。
「そっか。クロノちゃん制服着たことないのよね。私が着ているこのシスター服もこの学園の制服で種類は他にも豊富にあるのよ」
今更だが、フィリアのシスター服は赤を基調としており他のシスターよりもスカートの丈が短く、履いている靴下も腿まで覆う白のハイソックスである。セラは水色を基調としたシスター服でスカート丈は膝下まであり、履いている紺の靴下も膝ぐらいの長さである。
これだけ種類がある理由も、集団の中でも特徴を出すために許可されたものであり、シスター服は学園を卒業した後にも使う為、種類が豊富となっているのだ。
「制服は基本上と下だけで後は各自用意しますので、クロノ様も下着などは今使っているものを使ってくださいね。あと、必要な物はこちらで用意しておきましたのでご安心ください」
クロノは二人の説明を聞いて畳まれた制服を伸ばしてみると、シャツとやや丈の長いブレザー、ネクタイが用意され一番気になっていた制服の下がズボンあることを確認し、スカートじゃないことに安堵するのであった。
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