本拠地に到着
三人は鉄馬の蹄鉄が地面に当たる音と車輪の音を聞きながら移動を続けた。移動中は、フィリアとセラは他愛もない世間話をしており、クロノは窓から見えるセドナ王国の見た事のない景色に口を開けて驚きっぱなしであった。
「それにしてもセラ。この馬車にだいぶお金をつぎ込んだわね」
「セラは今お金で手に入るものでは、あんまり使うところがなかったから思い切って投資してみたけどクロノ様が喜んでくれたならやったかいがあったわ」
「クロノちゃんも喜んでいるみたいだし、私も落ち着けるから助かるわ。それにしてもクロノちゃんずっと窓の外を見ているけど、そんなに気になるかしら」
「セドナ王国は近代国家だから見た事が無いものばかりでしょうし、始めて来た人のほとんどがクロノ様のようになるから仕方ないんじゃない」
「それもそうね」
セドナ王国は技術と魔法を駆使した最先端の王国である。地上から何百メートルも離れた建物や、何万人もはいる大型商業施設、各種イベントが催される大型ホールなど、その他にも多くの施設が国内に建造されており、その規格外の施設を観光しに他国からやって来る旅行者もとても多いのだ。
クロノはその旅行者たちと同様にセドナ王国の街並みに釘付けとなっており、フィリアは、セラとの会話も飽きてきたので「むふふ」と笑みを漏らしながらクロノに話かけた。
「クロノちゃん。セドナ王国はすごいでしょ」
「凄すぎて、別の世界に来たのかと思っちゃうよ!」
フィリアは、クロノに覆いかぶさるようにクロノの背中にくっ付けて体を近づけたのだが、クロノは既にセドナ王国の街並みに興奮し切ってしまっていたのでその背中に、ふわほよのフィリアの胸が当たっていても、気がつかなかった。
「クロノ様、また観光する際にはセラがご案内しますので楽しみにしておいてくださいね。…………それとフィリア、ちょっとクロノ様と近すぎない?」
セラは、ジッとフィリアがクロノにくっ付いているのを見つめたがフィリアは気にすることなく、指を指してクロノにセドナ王国を紹介してあげていた。
この事にセラは「むぅ」と悔しさを露わにしていたが、すぐに冷静を保った。なぜなら、この後に用意してある事に自信があったからである。
セラは数分後のお楽しみを想像してしまい、フィリアに気づかれない様にニヤリと笑うのであった。
無事目的地に到着した鉄馬はゆっくりとスピードを落として停車し、停車したのを確認してから、セラの案内で馬車から降りるとクロノの目の前にある大きな門の奥には見た事も無い大きな建物がいくつも建っていた。
「うわー。ここもすごいところだな。セラさんここが目的地の本拠地なの?」
「そうです。ここが我々の本拠地になります。ささっ、ご案内致しますのでついて来てください」
二人はセラの案内により大きな門を通りその中へと歩き進んで行く。現在歩いている歩道の両脇に樹齢がかなりありそうな木々が作るアーチをくぐりながら、その本拠地の入り口に移動し現在はその中に入らせてもらっている。
セラが言うにはすでにクロノとフィリアがこの場所に来ることは事前に知らされていたので、順調にここまで来ることが出来たのだ。
「セラさん。ここってどういうところなの?」
「ここはリフィア様の力を授かった者達が集まる場所で、最も重要な場所であるので、かなり力が入っておりますよ」
「ところでセラ。すんなりクロノちゃんも中に入れたけど本当に良かったの?」
「え? それってどういう事?」
「だってここって女子校よ。まぁ正確には女子学園だけどね」
「ええええええええええええええええええええええええええ⁉」
フィリアに告げられ事実を知ったクロノは久しぶりに絶叫するのであった。
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