セドナ王国にようこそ!
三人はセドナ王国のワープポイントに無事到着し、ギルドの外に出ると三人を爽やかな朝日が体を照らし、涼やかな風が吹かれて心地よさが増すとても気持ちの良い朝のようだった。
「え? 朝? これってどういう事?」
クロノは外に出たとたん驚きを隠せない様子で戸惑っており、その背後では腕を伸ばしてストレッチをしながら可愛く小さなあくびをするフィリアと、クロノの戸惑う姿を見てはにかむセラがこの事態の説明を始める。
「来ていただいたセドナ王国は、アクアミラビリスとの距離がかなりはなれていているので時差の関係上クロノ様は数時間前に来ていただいております」
クロノはセラの説明を受けても未だに理解出来なかったようで、頭には疑問符が浮かんでいた。
「なんかよくわからないけど不思議な感覚だな」
「あと、クロノ様は既に入国の手続きは済んでおりますのでお気になさらず」
「はぁ。ありがとうございます」
クロノの頭の中は混乱を通り越してしまって何がなんだが分からなくなっていたのに対して、フィリアは特に気にすることなくストレッチを続けて両肩を伸ばしたしたついでに首も回してすぅと息を吸うと、
「さて着いたことだし、すぐに本拠地まで向かうの。セラ?」
「そうよ。さて、おいでなさいな」
セラはホルダーから長方形の形をした一枚の紙を取り出し地面に向かって放ると、その場所に鉄の馬が鳴き声を上げ召喚されると同時に馬車も召喚された。
「すごい! これって魔法なの?」
「ちょっとだけ違いますよ。クロノ様」
セラは無邪気に目の前の出来事に興奮するクロノに対して少し照れながら答えた。
「クロノちゃん。これはセラが持つ奇跡を応用したもので、セラが持つ札から放たれると召喚されるのよ」
「フィリアの言う通りです。でも、召喚する際に体力も消費するので、乱用には注意しなければなりません」
「へぇー。リフィアの力って本当にすごいな」
フィリアはそのクロノの呟きにくすりと笑った。
「それをクロノちゃんが言ったらダメでしょ」
「? なんでダメなの?」
「だって、クロノちゃんは更にすごい力を持っているんだから」
「うーん。確かにそうかもしれないけど、まだ実感がないからなぁ」
クロノは困ったような表情をして自分の持っている力を思い返してみたが、まだ一回しか使徒の能力を使っていないし、他にどんなことが出来るのかも不明な能力の為、実感が今のクロノには無かったのだ。
「さて、二人共乗って下さい。移動しますよ」
クロノは馬車の中へと乗り込むと「おぉ」と小さく感嘆の声を漏らし、天井にある小さなシャンデリアに驚きながら、赤を基調とされた金色の装飾の豪華な造りで煌びやかに整えられたその車内と、座ると沈み込みむように臀部を包み込むふわふわで肌触りの良いその座席の質に感動の声を上げた。
「すごい………こんなに高級な場所、僕始めかもしれない………!」
「気にいってくれましたかクロノ様」
「うん。すごく気に入ったよ! ありがとうセラさん」
「喜んでくれてセラも嬉しいです。さて、準備も整いましたし出発いたしますね」
クロノの満面の笑みにセラも思わず微笑んでしまうほどであり、気分が良くなったセラは、セラは指をパチンと鳴らし鉄馬に指示を送ると、その指示を受けた鉄馬は四肢に力を入れ歩き出すと共に馬車はゆっくりと動き出すのであった。
最後まで読んでいただきありがとうございます! さらにブックマークをしていただいた方ありがとうございます! 引き続きブックマーク、評価、感想をお待ちしております!