嫌な予感はやはり当たっていました………
「それでセラさんは、なんでここに来たのかな?」
「クロノちゃんの言う通りよ。そろそろ本題を話しなさい」
「分かったわ。まずは今回二人が倒したヴェドという存在についてからね。ヴェドのような《冥獄凶醒》は現在のところ確認は出来ていないけど、恐らく一体か二体ぐらいはどこかで息を潜めている可能性があると言われているわ。それで、各教会は担当している地域の情報を集めているの」
「ヴェドのように姿を隠されると、見つけるまでも大変だけど、何か起こる前に見つけておかないと今回みたいに被害者が出てしまうからね」
「その通りですクロノ様。しかし、今のところは《冥獄凶醒》の手下のような存在である《凶》ですら発見されていないようなので、これはこれで安心出来ますが、準備を怠ることは出来ませんので、それで我々の考えとしては、クロノ様に我々の本拠地について来て欲しいのですが…………」
セラは懇願するようにクロノに頼むのだが、クロノの気持ちは既に決まっており、
「もちろん。僕に出来ることがあるなら、喜んで受けさせてもらうよ」
「ありがとうございます! クロノ様は我々にとってリフィア様に次いで大事な存在ですから」
クロノの快諾にセラは満面の笑みで喜びを表していた。
「そんなこと言って。セラならどうせこうなるって分かってくせに」
フィリアは、つまらなそうに口を尖らしていたが、セラは目的の為に一切フィリアの事のなど気にすることはなかった。
「それで僕はどうすればいいのかな?」
「はい。そうしましたら、私と一緒に本拠地まで来て欲しいのですが…………」
「もちろん、行かせてもらうよ」
「ありがとうございます! そうしたら早速向かいたいと思いますので、クロノ様とフィリアは準備をして下さい」
「え? 今から」
「そうです。今からすぐにでも出発したいと思っています」
「セラ、さすがに準備とかがあるからさすがに今すぐには無理だと思うけど」
「え~、無理なのですかクロノ様」
「そうだね。本当ならすぐにでも向かいたいけど、家の事もあるし向かえるのは早くても明日になるかな」
セラは困ったような表情をするが、クロノもフィリアの意見と同じだったためやんわりと断った。
「そうしましたら仕方がありませんね。ちなみに、明日になってしまう理由を教えてもらってもよろしいですか?」
セラはパンと手を叩き、そのまま指を組みながら笑顔で問いかける。
フィリアはその時一瞬だけ外が気になったのか窓の方を見たが、何も変化がなかったので気のせいか思いまた前を向いた。
「まぁ、今日はもうお昼を過ぎたし家でする事もあるから出来れば、ってことだったけど」
「ええっと、クロノ様の話からすると家事をするから明日にしてほしいという事ですね」
「言ってしまえば、そういうことになるかな」
「では、家事さえ終わってしまえば、クロノ様は時間が出来るということですね!」
「………うん。そうだね…………」
クロノは嫌な予感がしつつ、セラが息を少しずつ荒げながら、クロノに言い寄るように話を進め、クロノはそれに押されるように会話を続けていた結果、
「分かりました! それでは家事を終わらせてしまいましょう!」
「「「「「お邪魔します‼」」」」」
セラは右手でパチンと指を鳴らすと、いつの間にか玄関に入っていた数人のシスター達が、元気な挨拶と共にクロノ達がいる部屋にやって来ると、何が起こったか理解が出来なかったクロノは「え⁉ あ、はぁ?」と困惑するのに対して、フィリアは「チッ、やっぱりあの時の違和感はこれだったのね」と舌打ちをしてこの現状を恨めしそうに呟くのであった。
「説明します。この子達は家事に長けたシスター達で、全てこの家の家事をしてくれます。これでクロノ様は今日の予定はなくなってお暇になりましたよね」
セラのパワープレイに、クロノは空いた口が塞がらないほどこの事態に驚いており、フィリアに関しては最早この行動に呆れていた。
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