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ティータイム継続


 フィリアは、こころに秘めていた想いを語ったせいか、いつの間にか体が熱くなっており、手でパタパタと仰いでいるとクロノがお茶を淹れて、座っていた元の席に座り直す。


 「新しいお茶が用意できたけど、フィリアは冷たいお茶がよかったかな?」


 「ううん。気にしなくていいよ。それに氷なら自分で用意できるから」

 

 フィリアは自身が持つ奇跡で氷を生成し、容器の中に二つほど氷を入れてぬるめのお茶を一気に飲み干した。


 「そんなに喉が渇いていたならもっと用意しておけばよかったね」


 「これで充分だから気にしなくていいよ」

 

 フィリアははにかみながらクロノに返事をする姿を、セラは、じぃーと見つめていたが、どうやらフィリアは本気でクロノの事を気にいっていることを目視し、その事をなんとか飲み込みながら、セラは声を発する。


 「フィリア、私にも氷入れてちょうだい」


 「えー、自分で作ればいいでしょ」


 「いいじゃない。ついでよ、ついで」


 「仕方ないわね」

 

 フィリアは渋々ながらもセラにも氷を作ってあげるとセラの容器に同じく二つほど氷を入れてあげるのであった。


 「これでいいかしら?」


 「うん。ありがとう」

 

 セラは慎重に容器に口をつけ、お茶を啜るとちょうどいい具合に冷えていたのでとても飲みやすくなっていたのだが、この事からしてもフィリアが変わったと思うしかなかった。

 

 以前のフィリアであれば、氷の投入をする事態面倒だとか言って断っていただろうし、もし、してくれたとしても五割の確率で、何かしら悪戯をやってきたと考えられるが、今回はすんなりと快諾し悪戯もしていないのだ。

 

 この前例がない事態にセラは普段であれば何か勘ぐってしまうのだが、先ほどの話通りであればクロノの前であれば以前の悪いフィリアは出てこないのかもしれない。そう結論付けたセラは、更に試してみることにした。


 「クロノ様。なにかお菓子とかありませんか。せっかくの美味しいお茶に何か甘いお菓子があるとより美味しいと思いまして」

 

 フィリアは昔から甘いものが好きだ。そしてこの家にもお菓子があるはずであると読み切りセラは言い出したのだ。


 「あ、ごめんね。今から用意してくるからちょっと待っていてね」

 

 クロノは再び席を立ってお菓子を用意しに席を立つと、再び二人は顔を合わせてひそひそと話を続ける。


 「ねぇセラ、あなたいつになったら本題を話すのよ」


 「いいじゃない。まだ時間はあるんだし」

 

 セラにとっては今のフィリアの変化についても重要な検証材料なのである。そして、この結果は必ずと言って言い切れる程今後の役に立つであろう。


 「今あるお菓子はこれしかなかったけど、セラさんはこれでもいいかな?」


 「ちょっと、クロノちゃん! 本当にそのお菓子しかなかったの⁉」

 

 クロノが取り出して来たのは数個ほどの焼き菓子であったのだが、実はこのお菓子はフィリアのお気に入りのお菓子の一つであるのだ。


 「わぁ美味しそう! 全く問題ありませんクロノ様!」

 

 セラがお菓子を見た瞬間に声を大きくして、嬉しそうにするのをクロノは見て、


 「良かった。それじゃセラさん、好きなだけどうぞ」


 「はい。ありがとうございます!」

 

 セラは、手を伸ばして皿に並べられた焼き菓子を一つ手に取ると、がぶりと噛みつきお茶をお供にして美味しそうに食べ始めるのであった。


 「全くセラったら、本来はセラが何かお菓子の一つぐらい持ってくるべきでしょうが」

 

 フィリアは、おもてなしを受けているセラに悪態をつくのだが、セラにとってはフィリアのその態度については可愛いもので、以前であればお菓子どころかお茶すらお代わりは無かっただろう。

 

 結論通りフィリアは変わった。これは間違いないだろう。そしてこの結果は良いことだ。

 

 セラはその結果に満足していたが、フィリアの言う通り、礼儀としてお菓子を用意しておけばよかったとセラも反省しながらその甘いお菓子を食べ終えるのであった。


最後まで読んでいただきありがとうございます! 

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