昼ごはんの来訪者
ここから二章となります。二章も長くなると予想されますが、引き続きよろしくお願いします。
「やっぱりクロノちゃんの料理はいつ食べても美味しいわね!」
「今日の料理も口に合って良かったよ」
クロノは帰宅してすぐに調理に取り掛かり、今は料理を机に並べて、フィリアとの昼食を始めようとしたばかりであった。
「それじゃ、僕も食べるとしますか」
クロノは先に食べ進めていたフィリアの感想により、自信を持って今回の料理の出来を確認しようとした時だった。
カランカランと、玄関で呼び鈴が鳴ったので、クロノは食事を開始しようとした手を止めた。
「こんなところに来るなんて一体誰だろう?」
クロノ達が住む場所は、人がいる所から随分と離れた場所にあり、この場所を知る者もそんなにはいないのである。
「せっかく、食事をしようとした時に来るなんて合間の悪い奴なのかしら」
「まぁまぁ、もしかしたら大家さんかもしれないし、とりあえず僕が行って見てくるよ」
クロノが部屋を出ようとした時にフィリアはクロノを呼び止めるように、
「クロノちゃん、扉の向こうに女がいたら追っ払うのよ。あと、シスター服を着ていれば尚更早く始末しておいた方がいいわ。そうだわ、後で今後の為にも私が、対シスター専用撃退術をクロノちゃんに教えてあげるわ」
「そんな物騒なのはいらないかな」
フィリアは真剣な顔で対シスター専用撃退術をクロノに伝授しようとしたがクロノは断った。というか対シスター専用撃退術ってなんなんだ。
「クロノちゃん、絶対に女とは相手しちゃダメだからね!」
「わかったよ。なるべくそうしておくよ」
クロノはフィリアに返事をして玄関に向かいその扉を開けると、
「こんにちは。私は、今回ご挨拶に来たセラと申します」
ぺこりと、頭を下げた長い銀髪のシスター服を着た少女を見たクロノは、顔を上げたときに見えた右目にある刻印を目にすると、
「君、もしかしてリフィアの力を持っているの?」
「はい。そうです。私はリフィア様から奇跡や加護を授かっておりその刻印はこの右目に刻まれております」
セラは、右目に手を当てながら、丁寧な言葉使いで説明をしており、クロノは精巧に作られた人形のようなその姿にただただ釘付けになっていた。
「そういえば、フィ――――――」
セラは話を続けようとすると、その途中にその言葉を遮るようにクロノ背後から猛スピードで様子を見に来たフィリアはその話し合う二人の姿を見た瞬間、二人の間に割って入るように、セラに向かって突っかかる。
「なんでセラがここに来たのよ!」
セラと呼ばれる銀髪の少女はその右目を輝かせながら、
「あら? フィリア久しぶり。あなたがセラのことを忘れてなくてよかったわ」
「セラ。ここに何しに来たの?」
「それはあとで教えるわ、それよりもクロノ様。このいい匂いは何かしら?」
セラは鼻をクンクンと嗅ぎながら、クロノに問いかける。
「今からちょうどお昼だったんだけど、セラさんも良かったら一緒に食べないかな?」
「いいんですか⁉ それではお邪魔します!」
セラはクロノの誘いに悩むことなく靴を脱いで家の中へお邪魔した。
「クロノちゃん…………、私中に入れていいって言ってないよ」
フィリアは、不機嫌そうに、じーとクロノを見つめていることから、どうやらセラを家に案内したことが何やら気に食わなかったようだ。
「でも、セラさんはフィリアの知っている人なんでしょ。なら、このまま帰ってもらうのも悪いし、お昼充分に作ってあるから、問題ないよ」
「クロノちゃん。そういうことじゃないのよ。セラも私と同じで――――――」
フィリアが何か言おうとしたその時にその言葉と重なるようにセラが感嘆の声を上げた。
「わぁ! セラが好きな魚料理じゃない。フィリアはどうせ作れないから、これはブラッ……じゃなかった。クロノ様が作ったのでしょうか⁉」
「そうだよ」
「わー! とっても嬉しいです! クロノ様が作った手料理が食べられるなんて!」
「私だってお手伝いしたんだからね!」
と言ってもフィリアが手伝ったのは出来た料理を運んだだけだったので、フィリアはそれ以上何も言う事は出来なかった。
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