二人を目を輝かせて見つめる銀髪シスター
これで一章は完結となります。クロノがSランクとなるまでに長い時間を要しましたが、次回から始まる二章からは力を得たクロノがどうなってしまうのか、楽しみして待ってもらえると作者としては嬉しいです。
あの出来事から二日後、今日もフィリアはクロノを連れてアクアミラビリスの市場に買い物に来ていた。
「フィリア。今日は一体何を買うの?」
「特には決まっていないけど、今はやることもないから、暇潰しってところかしらね」
今日も時間を持て余しているフィリアは、クロノと一緒に今日もアクアミラビリスの市場へとやって来たのだ。
昨日、魚屋に置いて来たフィリアの荷物を取りに行くと、その魚は傷んでしまったので、代わりの魚をもらったのだが、ちょうどその日は大漁だったらしく色んな種類の魚をもらっているので、食材も充分に家には用意されており、食材を調達する必要はなく、今回のヴェドの件で教会は、ささやかなお礼として、十万リグをクロノ達の元に持って来て、クロノはその受け取りをやんわりと拒否したのだが、フィリアはお構いなしもらってしまったので、そのおかげもありお金も充分にある為、日々の特訓を除けば、クロノも特にやる事はなく平和な日々に身を任せていた。
あの後から、二人の元には《凶》や、《冥獄凶醒》についての話は入ってくることはなかった。
聞いた話によると、《凶》となっていた三人は意識を取り戻し順調に身体は回復しているようだが、心には大きな傷を負っているようなので、それほどヴェドは凶悪な存在であったのだ。
「メイオールさん達も、傷が治ってくれればいいけど、今はお見舞いにもいけないからな」
「あの教会に私達が行けば、あの三人だけでなく、他の奴らもクロノちゃんに謝罪の嵐を巻き起こすだけだからね」
クロノが、使徒になる前に彼らはクロノを《凶》となった三人の指示により、攻撃したことを後悔しており、懺悔室はずっと満室だそうだ。
フィリアは目を細めて、呆れながら口を尖らせて、
「クロノちゃんはもう許しているのに、どうして続けるのかしらね。どうせ懺悔したって、結局使徒であるクロノちゃんに関係しちゃうから、意味ないのに」
「まぁ、そうかもしれないけど、やっぱりみんないい人ばっかりだから、どうしても、自分の心が許せないのかな、後は、早く僕もその使徒っていうのに慣れないとね」
クロノはリフィアに与えられた力により、使徒となったのだが、未だにその実感はクロノの中では無かったのだ。
「まぁ、いずれ慣れると思うわよ。それに私は、クロノちゃんが、使徒であってもなくても関係ないから気にしないけどね」
「フィリアがそう言ってくれれば、僕も気が楽になるよ」
「さて、そうしたらお腹も減って来たしお昼にしましょうか」
「確かに僕もお腹が空いてきたかな。それじゃ、どこかで昼食を食べていく?」
「私は、クロノちゃんの料理が食べたいから、家に帰って食事がしたいなぁ」
フィリアの色っぽくねだる表情と仕草によりクロノは、ドキッとしてしまうが、すぐに気を取り直し、
「それなら、家に帰るとしますか!」
「そうだね。ちなみに今日のお昼も魚なの?」
「そうだね。今日のお昼で使い切ると思うけど、他の料理がいい?」
「ううん。クロノちゃんの魚料理は美味しいからそれで充分よ」
二人は、仲良く手を取り合って自宅へと帰宅するのであったが、その瞬間を二人を遠くから気づかれない様に慎重に眺める者がいたことに、二人は気づくことは出来なかった。
「ふふっ。あれがブラックスター様なのね。はぁー! ようやく会えたら胸がドキドキして来ちゃったわ! ………………落ち着くのよ、セラ。今回の作戦はこれからを左右する大事な作戦なのよ。それに、相手はあのフィリアなのよ、セラが考案した万全の態勢で臨んでいるけど、フィリアならひっくり返して来てもおかしくないわ。でも、セラの使命は確実にブラックスター様を、我がラグナロク第一学園に連れていくことだから、この作戦は失敗なんて出来ないわ!」
二人の住む家から離れた場所で、片目に刻まれた刻印を輝かせながら、自分を鼓舞すると、そのシスター服を着た銀髪の少女は、行動を開始するのであった。
最後まで読んでいただきありがとうございます! さらにブックマークをしていただいた方ありがとうございます! 次回から始まる二章も頑張ろうと思います! そして、引き続きブックマーク、評価、感想をいただけると今後の参考になるのでお待ちしております!