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フィリアの変わらない性格


「まさかもう、この姿を見せるとは思ってなかったが、それはまぁいいだろう」

 

 黒い霧から出て来たのは、黒いベルトのようなもので全身を覆い、頭部にある一つ目をぎょろりと動かす異形な存在であった。しかし、そのヴェドの姿を見てもクロノは一瞬たりとも驚くことはなく、その事にヴェドも不快に感じたようだった。


「おいおい、このヴェド様の姿を見ても動じないなんて、やっぱりお前何かあるな」

「知らなくていいよ。これから駆除するだけだからさ」

「なによ、あれ超気持ち悪いんだけど」

 

 フィリアは、ヴェドのその姿に嫌悪感をあらわにしていた。しかし、そのように思われていたとしても平常通りの話口調で、ヴェドはフィリアに向かって話しかける。


「お嬢さん、そんなに気持ち悪がらないで下さい。私の良さはもっと近づけばよく分かるのです! さぁ、もっと近づいて来るのです!」


 ヴェドは両手を広げて、フィリアを向かい入れようとしたが、フィリアは眉をひそめ、更にヴェドに対しいて嫌悪を抱いた。


「うげぇ。あいつ、本当に嫌なんだけど」

「安心してフィリア、僕と一緒ならきっとあいつは倒せるから」

 「はっはっは。お前、本当に邪魔な奴だな」

 

 ヴェドは、両腰に出現させた短剣を手に取り、クロノに向かいその切っ先を向けて切りかかったのだが、それでもクロノはその当たる寸前で回避した。だが、ヴェドはすぐにクロノと距離を詰めてさらに追い詰めにかかった。


「おいおい。どうした!さっきまでの威勢はどうした! 俺様を駆除するんじゃなかったのかよ!」

 

 ヴェドは先ほどの状況から一変して優位に立ち、クロノを追い詰め続け、クロノもその言葉に反応することなく冷静を保っていたが、現状は防戦一方となってしまっていた。


「ほらほら、黙っていたらつまんねぇぞ! もっと、後悔の言葉を聞かせてくれよぉぉぉぉおおおおおおおおおおおお!」

 

 ヴェドの連撃によって隙が出来てしまったクロノを見逃さず、その大きな一つ目がクロノを逃さまいと一点を見つめて、集中して攻撃を仕掛けようとすると、


「私を忘れんじゃないわよ!」

 

 白剣を持ったフィリアがヴェドに切りかかりに来たので、その攻撃を回避する為に、クロノと距離を取ることにしたのだが、絶好の機会を逃したことをヴェドは悔んでいた。


「あー。そっか、そういえばお前もいたなー。忘れていたわ」

 

 絶好の機会を逃したヴェドは明らかに機嫌が、悪そうにフィリアに言い放つのに対して、


「あれ、さっきまで元気よく自慢していたからよっぽど、自分が好きすぎて酔っていたのかしら。まぁ、自分に酔う事しか出来ないやつだから仕方ないか」

 

 ヴェドの嫌みに対して、すぐに嫌みで言い返すのはフィリアらしいと思ってしまい、クロノは戦闘中だというのに笑ってしまった。


「クロノちゃん、何笑っているのよ」

「ごめん、ごめん。フィリアらしいなって思ってさ」

「むー。なんかさっきからクロノちゃん可愛いくないっ」

 

 クロノは、腕を組んでぷりぷりと怒り出しているフィリアを見ながら、


「だって僕は男だしそれは当然じゃないかな」

「それでも、クロノちゃんは可愛くて、頑張り屋さんのところが良かったのに」

「じゃあ、今の僕は嫌い?」

 

 その問いに対して、フィリアは僕から顔背けて、振り返ると、


「ううん。それがいいわ」

 

 フィリアの微笑はフィリアの元々あるものとも相まってそれは、最高の表情であった。

 

 その表情を見て一瞬、時が止まったような気がしたがすぐに、


「おいおい!お前ら!俺の事を忘れてねぇだろうな!」

「「あっ」」

 

 二人共夢中で話していたせいで、ヴェドの事をすっかり忘れていた二人だったが、その事がさらにヴェドを激高させるのであった。


「はっははははは。お前ら本当に舐めていやがるな。後悔しても遅いからなぁぁあああああ‼」


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