ありがとう。のじゃシスさん その想い確かに受け取った!
フィリアの友達。それは、フィリアにとって命を差し出せるほどの存在で、その友達はシスターやモンクに、奇跡と加護という能力を与える神と呼ばれる存在である。
その神様が僕の隣で、ちょこんと出会った時から変わらない愛らしさで今もなお、まるで普段通りの些細な日常会話をするように、話すことが出来ていた。
「いつから気づいておったのじゃ?」
「実は、出会った後から薄々気づいていたんだ。でも、最初は神様だとは思っていなかったし、感覚でそうかなって思えるぐらいだったから」
「そうか。それなら早く言えばいいものを」
のじゃシスさんは、その小さな口を尖らせてむすっと、しているのを僕は眺めながら、
「ごめんね。でも、今だとそうすればよかったかなって思えるぐらいだけど、のじゃシスさんと、過ごす毎日が、居心地が良すぎて、言うのを忘れちゃったよ」
その言葉を聞いて、のじゃシスさんは小さな手で髪を触りながら照れるような仕草をし、その照れた顔をからすぐに真剣な顔になって、僕を見て問いかけた。
「しかし、おぬしはフィーちゃんを諦めるという事は本当にないのじゃな」
「諦めることなんて、今の僕には考えられないよ。それにもし、フィリアが僕の事を嫌がったとしても、まずはもう一度会いたい。それで、嫌われたなら、それで諦めるよ」
「だからといって、命をかける程なのか?」
「うん。もちろん。それに強くなるために、のじゃシスさんだって手伝ってくれたよね」
強くなる為にとは、主に地竜と火竜と戦ったことだ。他にも多くの種類のモンスターと戦ったがすべてクロノ一人で戦い抜いたのだが、そうであっても、クロノはあくまで二人で戦ったという。
「おぬしは、やっぱり優しいのう。それでも、その優しさがすごくいいと思えるから変わらないであげてくれ」
その言葉に応えるように僕は大きく首を縦に振った。
「僕は、たぶん変わらないと思うよ」
「そっか、それなら良かったのじゃ。それに傷はほとんど癒えているようだし、本当はもっと話しをしたかったのじゃが……仕方がない。最後におぬしを信じてこれを授けよう」
のじゃシスさんに言われて、僕は自分の体を見てみると、あれだけあった傷が癒えており、そして、のじゃシスさんは僕の前に立って何かを唱え始め、それと同時に体に力が漲ってくるのを感じる。
「おぬしに渡したのは、特別な力じゃ。その力は、どの奇跡や加護よりも強いものじゃ」
「うん。体が治ったどころか、力が漲ってきたよ」
「その力はきっとおぬしを支えてくれるじゃろうし、今までのおぬしを見てその力を託しても問題ないと思えたからの。後はフィーちゃんやあのシスター達を救ってやってくれ」
「もちろんだよ! のじゃシスさん!」
のじゃシスのお願いを聞き届け、クロノはこれを約束した。
「さて、体もおかげさまで良くなったし行ってくるよ」
僕は長椅子から立ち上がり、体の調子を確かめる。
体の調子は感じた通り絶好調である。
「じゃあ、フィーちゃんとみんなの事をよろしく頼んだぞ」
「絶対に会って来るから任せてよ」
「うん。任せたのじゃ。それで、全部終わった後に、また会えるといいの」
のじゃシスさんは、今までに見た事のない慈愛に満ちた最高の笑顔を僕に送ってくれた。
「僕も、のじゃシスさんにまた会えるのを楽しみにしているよ。それじゃあ行って来ます!」
「気をつけて行ってくるのじゃ」
僕は、後ろで光となって消える、のじゃシスさんの想いに応えるために、戦場へと復帰するのであった。
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