急降下で悪化するフィリアの機嫌による犠牲者
毎日が何も変化のないつまらない日々を過ごしている、現在の状況にフィリアはうんざりしており、あまりにも退屈なので、ため息が出るばかりだ。
この教会ではフィリアの役割は無く、話かければ怯えられる立場となってしまったので、周りのシスター達とも話せる状況ではない。
この状況を作ってしまったフィリアにも非はあるが、フィリアはそこまで怯えなくてもいいのではと思っていたが、フィリアが起こしてしまった教会での出来事によって、シスターやモンク達に与えた恐怖は相当大きいものだったようだ。
その現状を作り出した出来事は、思い返せば、些細な事から始まった。
その日も、あまりにも暇なので教会内を歩きまわっていた。その最中に、各自振り分けられた仕事をしているシスターやモンク達に挨拶されると、軽く手を上げて返事をして、教会の周辺に咲く色鮮やか花々や、見上げると雲一つない爽やかな気候などは、全く興味を示さずに、ただただ暇潰しの無関心な散歩していると、
「おや、フィリアであるか」
この教会内で最も顔を見たくない人間であるアーロンに出くわしてしまい、現状ですら不機嫌なフィリアの気分が急降下で更に悪化し、これ以上の悪化はフィリアの体調や、今後の過ごし方にも関わってしまいそうなので、無視してさっさとどこかに行ってしまおうと思ったが、
「フィリア、気分はどうであるか?」
「…………今も最悪を更新中よ」
お前のせいでということに気づく事はないだろうから、さっさと必要もない会話を終わらせて、アーロンから離れたいので適当に話を切り上げようとしたが、
「それは良くないであるな。だが、以前よりはいいのではないか?」
その言葉に違和感がありフィリアは、反応し振り返る。
「以前っていつからの話よ」
「クロノといた時であるよ」
アーロンの言い放った言葉に、フィリアは数舜頭が真っ白になり、それでもようやく出てきた返事は、「はぁ?」の一言だけであり、更にその言葉に対して、眉をひそめ、今まで無感情だった感情から殺意が沸いたが、無意味な殺意を一瞬出してしまった事を後悔してすぐに収める。
だが、アーロンもそれなりの実力者なので、その殺意を感じ取ってしまっており、
「何をそんなに怒っているのであるか。我はメイオール様からの命令だったがクロノからフィリアが居るべき所に戻したのであるぞ。それなのにそんな態度はないではないか」
アーロンは、あくまでフィリアの為に行ったもので、それは正義であると信じ切っており、至って真面目に言っているのだ。だが、その物言いにフィリアは思わず笑いそうになったので、なんとかその感情を殺そうとしたが、結局こらえきれず、口元を緩ませてしまったが、その笑いは決して気持ちの良いものではなかった。
「アーロン。あなた、私を挑発して楽しい?」
「挑発ではなく、事実を言っているのである」
その言葉に咄嗟に手を出してしまいそうであったがなんとか抑えてみたものの、表情までは抑えきれず、フィリアの表情は、憎しみに満ち溢れ、アーロンをひたすら敵視してする程度で収めようとしたが、結局アーロンのその挑発にフィリアの何かがはじけた。
「アーロン。あなた、自分が強いと思っているようだけど実際そうじゃないからね」
「いきなり何を言うのであるかと思えば……。フィリアこそ我を挑発しているではないか。我は、フィリアが褒めていたクロノを圧倒したのであるから我は強いのであるぞ」
アーロンはフィリアの発言に呆れながら答えたが、今のフィリアはそれすらも気にならなくなっていた。
「そうね。実際に挑発しているわ。でも、この挑発にあなたは乗るでしょ?」
その挑発に、アーロンは目を細め無言を貫いたのだが、その選択はさらにフィリアの感情を悪化させた。
「じゃあ、ちょっと遊びましょうか」
「……我は問題ない」
「そう。それならいいわ」
二人は、その後何も話すことなく並んで奥へと進み、その二人のやり取りを見ていたシスターは、震える体を両手で抑えながら、急いでメイオールの元に報告に向かったが、その時、メイオールは教会にはいなかった。
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