次なる目標に向かってさぁ行くぞ!
無事、アクアミラビリスに到着し、現在僕は、自室でコクウの手入れをしていた。その作業を終えて、調理場に行くと、のじゃシスさんが椅子に座って、お茶を飲んでいたので僕も椅子に腰掛けお茶を淹れてもらい、容器にそっと口を当てすするようにしてお茶を喉に通した。
「あ~しみるなぁ」
「どうじゃ! 美味いじゃろ」
「うん。美味いよ」
のじゃシスが、淹れたお茶は、ほどよい熱さのお茶はその香りと共に、喉を潤しクロノの体に伝わっているのを感じ、クロノは目の前にあるお茶菓子を一つ手に取り、口に含みぼりぼりと噛み砕きつつ、味わいながら、今日の出来事を振り返った。
「今日の地竜との戦いは、のじゃシスさんも、何も無かったし、今日は本当に上手く出来て良かったよ」
「そうじゃな。おぬしは、ほとんど無傷じゃかったから、わらわの出番はなかったの。しかし、いざとなったら、わらわだってシスターじゃから戦うことは出来るのじゃ!」
のじゃシスさんは、小さな胸をポンっと叩いて言う。
「はいはい。でも、なるべく戦わないでね」
この時クロノは、あえてこれからも一緒にクエストに行くことを前提として返事をした。もちろんその理由は、あのワープポイントの前で起きたことを蒸し返したくはなかったからである。
それに今日は、地竜戦で体力も気力も使い果たしてしまったので、この疲労した状態で、のじゃシスさんの精神攻撃など受けたくもなかったのだ。
「しかし、おぬし、よく地竜に挑んだの」
「まぁね。でもこれは僕が、強くなるための通過点みたいなものだし」
僕は二個目のお茶菓子に手を伸ばしながら言うと、その言葉を聞いたのじゃシスさんは、その魔石のような深い蒼色の大きな目を開いて、
「ほう。かっこいいではないか」
「やっぱり、ちょっと言い過ぎだったかな」
クロノは自分で言った事に気恥ずかしくなり頬を掻いて、くすぐったそうな顔をするが、のじゃシスさんは、そんなクロノをまじまじと見て、
「そんなことはないのじゃ。むしろ、それがいいのじゃ」
のじゃシスさんは、そう言うと、両手で持った容器を傾け、ずずっとお茶をすすった。
「のじゃシスさんがそう言ってくれると、自信になるよ」
クロノは二個目のお茶菓子を口に入れて、自分の想いを振り返った。その想いは絶対にもう一度フィリアに会いたいということであり、その想いだけが、今のクロノをここまで動かしており、クロノは容器に入っていたお茶を一気に飲み干して、空になった容器を静かに机に置き、次の目標を決めるのであった。
☆
地竜討伐から数日が経ちクロノと、のじゃシスはギルドに来ていた。
今日も日課のクエスト探しをしているのだが、掲示板に貼られていたクエストはいつもとほぼ同じような内容のクエストばかりであった。
クロノは、その状況にひと息ついて仕方なく、クエストを一つ選び、出発しようとした時、後ろで受付さんが、また新しいクエスト貼りだしているようなので、念の為もう一度見に行くと、そこには待ち望んだクエストが貼りだされていた。
「あった。のじゃシスさん、今からクエスト変更して来るね」
「おっ、いよいよかの?」
のじゃシスの言葉にニッと、口角を上げて答え、クエストを変更して戻って来たクロノは気合を入れて声を出す。
「さぁ! 火竜討伐開始だよ!」
クロノは、気合を入れて次の通過点である火竜に挑むのであった。
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