時間が出来たので温泉に行きましょう!
クロノはコクウを腰に携え武器屋を出ると、その気持ちは高まっており、この場所に来る前とは大きく変わっていた。そして今は早く、モンスターと戦いたい気持ちでいっぱいであった。
その楽しそうなクロノの顔を下から覗き込むように見た、のじゃシスは、
「おぬし、顔つきが変わったの」
「えっ? そうかな」
のじゃシスの言う通りクロノの表情はいきいきとしており、今にも走り出してしまいそうだった。
「そうじゃ、今のおぬしはとってもいきいきしておるぞ。それにわらわも、今のおぬしの顔を見ていると安心するのじゃ」
のじゃシスは、クロノが少しずつだが、回復していくことに、ほっとしていた。
また、この時のクロノは、だんだんと気持ちが高ぶって来ていることを、感じてはいたが、まだ最高の気分ではなかったが、その目標へと着実に、前進を開始したクロノは、しっかりとした足取りで次の目的地に、のじゃシスと手を取り合い向かうのであった。
☆
「ごめんなさい。今日はもうワープポイントが使えないの」
「なー。まさかそんなことがあるなんて……」
ギルドに、クエストを受注しに行ったクロノは、頬に手を当てながら申し訳なさそうに謝る受付さんに、その事実を言われ、クロノは使えないのであれば仕方ないと思いつつ、とぼとぼと歩きながら、休憩所で冷たい飲み物を喉に通す、のじゃシスの元に戻るのであった。
「おぬし、どうしたのじゃ?」
「……今日は、もうワープポイントが使えないんだって」
「それは、残念じゃったな。しかし、他の手段はないのか?」
「あると言えばあるけど、それじゃあ、結局意味ないしなぁ~」
クロノは、のじゃシスの隣に、くしゃくしゃと頭を触りながら座り、それから腕を組んで、それでもどうするか悩みながら考えるのだが、
「やっぱり、今日は諦めるしかないね」
「まぁ、急いでも仕方ないじゃろ」
のじゃシスはそう言うと、残った飲み物をごくりと飲み干す。
「そうだね。そうしたら、このクエストは明日の朝に行くとしようかな」
「どれ、わらわに見せてみよ」
のじゃシスは、クロノから、クエスト内容が書かれた紙を掴み取り、内容を確認すると、
「おぬし、地竜と戦うのか?」
「うん。そうだよ」
クロノが選んだクエストは、フィリアと最初に一緒に戦った地竜討伐である。しかも今回選んだのは以前、選んだものよりも難易度の高い大型の地竜が、現れたので討伐もしくは追い払うのが目的である。
その内容を確認した、のじゃシスは目を細めながら、クロノに問いかける
「ほぅ。おぬしよ。この地竜は強敵か?」
「うん。強敵だね。でも僕は不思議と負ける気とか恐怖とかしないんだ、むしろわくわくしているんだよね」
クロノは、のじゃシスに向かって勢い込むように、言葉を発した。その言葉は、以前のクロノでは考えられないような発言であったが、自然とその言葉が出るようになったになったのは、あの出来事を経てクロノなりに成長したからであった。
「でも、移動をする為のワープポイントが使えないんじゃ、今日はやることがないなぁ」
「そうしたら、体力を温存する為に今日は家に帰るかの?」
「体力を温存か……。あっそうだ! のじゃシスさん、そうしたら温泉に行かない?」
「温泉か……、いい提案じゃやな! わらわも久しぶりに行きたくなってきたぞ!」
アクアミラビリスは、温泉が湧き出る温泉街でもあるのだ。そしてクロノは火竜討伐の時に温泉の魅力に気づいてから、また行きたいと思っており、ちょうど時間も出来てしまったので、体を癒やしに温泉に行こうと思っており、そのクロノの提案に、のじゃシスも快く受け、二人は上機嫌になりながら温泉へと出向くのであった。
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