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クロノ、武器屋で憧れの武器を買う 前編


 クロノはすたすたと武器屋目指して歩くのに対して、のじゃシスは少し遅れつつも、その小さな体で、腕を伸ばしクロノの手を握りながら歩き続けた。


 そして武器屋に到着すると、のじゃシスは、ふらふらとしながら近くにあった椅子に座り、クロノはすぐに目的の剣が展示されている場所にすぐに向かい、その値段を確認する。

 

 以前フィリアと来た時には、コクウを買うこと自体を考えていなかったのでしっかりと値段を確認していなかった。その為、本当に今のクロノが持つ全財産で買えるのか心配になりつつも、心臓を高鳴らせながらいざ値札を見ると、


「……買える……っ、僕はコクウを買えるんだ……っ!」

 

 クロノはその値札を見て喜びを噛みしめた。そしてクロノは、そのまま店主に向かってコクウを注文し、店主が持って来た待ちに待ったコクウを手に取り確認する。


 剣は魔石の中心に似た奥がどこまでも続いているような漆黒で、重さも手に伝わる感触も、全てがしっくりとクロノの手に伝わっており、クロノはこのことが一番感動するのであった。


「どうだい、コクウはすげぇだろ」

「うん。すごくいいですね。あとはこれを使って早くクエストに行きたいです」

「そうかい、そうしたらこれでいいかい」

「はい! お願いします」

 

 クロノは満面の笑みで、コクウを買おうとしたその時だった。


「おいおいおいおいっ! 店主! そのコクウ俺にも売ってくれよ!」

「だから、お前には似合わねぇ―つうぅの!」

「俺がカウんだよ」

 

 急にぞろぞろと武器屋に入って来た薄汚い三人組は、店主の持つコクウを指さして、ぎゃあぎゃあと騒ぎ立てている。そしてどうやら三人はここに来る前に、酒を飲んでいたようで、今はかなり悪酔いしていた。


「でも、これは僕が先に買うって決めたので――――――」

「あ゛? まだ買ってねぇだろ! 店主そうだよな!」

 

 男は、店主の顔を睨みつけて威圧するように問い詰める。しかし、店主はその脅しに屈しないで、男に向かって言う。


「すまんが、このコクウは、この子が先に買うと決めたんだ。だから君たちはまた今度買ってくれないか」

「ふざけてんじゃねえぞ! お客様の言うことが、聞けねぇのかよ! こっちは金持ってんだよ! だから買ってやるから売れよ!」

 

 男は顔を赤くして、机をドンッと叩きながら店主を恫喝し、威圧的な態度をとる。


「そうだぜ! 昨日、偶然大金が入った小袋を拾ってな! それから俺達は、こうやって遊びまくってんだぜ!」

「羨マシイダロ!」

 

 バカ騒ぎする男達にさすがに、クロノもその行動に、カチンときたので一言言ってやろうとすると、


「うるさいのじゃ!」

 

 歩き疲れて、うとうとしていた、のじゃシスは、三人組の声に苛立ち声を荒げて言う。


「なんだおまえ?」

「だからうるさいと言っておるのじゃ! こっちは気持ちよくうとうとしておったのに」

「あ? なんだ。このガキは? ガキはさっさと家に帰って寝ていろよ!」

「おぬし、今……なんと申した?」

「あ゛? 聞こえねぇのか、このガキは。おい! お前らも言ってやれ!」

「お嬢ちゃん! ママがしんぱいしてまちゅよ!」

「ハヤク、ネンネシナ」

 

 ひゃひゃひゃと、男達は、のじゃシスを見下しながら、指をさして笑い続け、その男達の行為に店主もやめるように言おうとした時、


「……おぬしら。……その言葉を発したこと……後悔せぬのじゃな」

 

 のじゃシスは、目をひそめて、クロノが今までに聞いたことがない凍てついた声を放ち、その声に三人組は、のじゃシスに対して畏怖の念を抱いた。


「なっ……なんだよ。このガキは……」

「驚くことはねぇ。とにかくコクウを売れっての!」

「ビビッテねぇぞ!」


 それでも、男達はコクウを諦めないので、のじゃシスは三人に提案する。


「よし、それなら勝負に勝った方が、その短剣を買う権利を手にするのはどうじゃ?」

 

 のじゃシスの提案に、三人はこそこそと顔を寄せ合って話し合い、その結果、


「いいだろう! その勝負受けてやる! その代わり負けても文句言うんじゃねぇぞ!」

「もちろんじゃ。そしてその勝負は、その腕の力で決めようぞ」

 

 のじゃシスは、男達に向かってハッキリと言うのであった。


最後まで読んでいただきありがとうございます! 

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