決戦前夜の作戦会議
この日クォンとクロノの特訓は中止となり、そのことはシュメルによってクォンの代わりに伝えられた。
急遽伝えられた事ではあるが、模擬戦とはいえ戦いの前にすることではないとお互いに判断した結果なので今は目の前のことをやるだけだ。
それよりも今は、クォン達との戦いでどうやって戦うかをクロノの部屋にて行っていた。
「それで唐突に決まった模擬戦についてこれから作戦会議を始めようと思うけど、いいかしら?」
セラに仕切ってもらいながら作戦会議が始まる。
「とりあえずこちらの人数が四人でありますから、相手もそれに合わせて四人となると誰が選ばれるでしょうか?」
イフルが言う相手とはクォンと共に戦うことが多い、シュメル、アビッソ、タルティー、スラドンの合計五人となる。
また調べたところ、その五人とも実力はAクラスということなので、クォンを除いたとしても厳しい戦いになることが予想される。
「相手に関しては出たとこ勝負ってところもあるから仕方がないわね。それに、相手の戦法もよくわからないし、どう仕掛けてくるかも分からないわ」
フィリアは腕を組んで考える。
「クォンの武器は銃だから基本遠距離から攻撃をしてくるだろうから、なるべく距離を詰めないとこっちの攻撃が通りにくくなるから、なるべく攻めていきたいね」
クォンの銃撃は遠距離からでも正確かつ威力のある攻撃が出来る。また銃弾の速さも対応するのがやっとの速さなので、なるべく有利に試合をさせない様にさせなければならない。
「そうなると、イフルは中距離からでも攻撃できるからいいとして、セラの扱いをどうしたらいいものか」
フィリアが知るセラは主にサポートを得意としていると思っていたので後方からの援助を期待していた。
「ちょっと待って。セラは前衛で勝負させてもらうわ」
セラは自信をもってハッキリとした口調で自分の希望するポジションを選択した。
「前衛ぃ? セラが? それはいくらなんでも厳しいんじゃない?」
フィリアはセラの選択にひたすら疑っていた。
それでも、セラは一切譲らなかった。
「フィリアがそう言うのも仕方がないと思うけど、それでもセラは前衛で戦わせてほしいの。それに今のセラならきっとできるはずだから」
セラは三人に向かって自分の想いを伝えたが、すぐ返事をすることはクロノでさえも出来なかった。
しかしその時間も本当に僅かなものですぐにクロノは声を発した。
「いいじゃないかな。セラがここまで主張するのも珍しいし、自信があるなら任せてみようよ」
「そうね。セラがここまで言うんだから任せるとしましょうか」
「そうですね。お願いしますよ。セラさん」
「みんな……信じてくれてありがとう!」
セラはみんなが信じてくれたことに感動した。
「そうしたらセラさんは前衛に決まったのであとはフィリアとクロノ様ですね」
「セラが前衛をしてくれるなら僕たちも前衛に出て一気に仕掛けたら、かなり攻撃力が出るからそれでやってみようか」
「開始直後すぐに速攻で攻め切って終わらせてやりましょう!」
クロノとセラは一気に攻め入ることに同意していたが、フィリアは腕を組んだまま考えていた。
それを見たクロノはフィリアに向かって話しかける。
「フィリアもこの作戦でいいと思うかな?」
その問いかけにフィリアはすぐに返事をしなかったが、考えが纏まったのかゆっくりと口を開いた。
「うん。それでいこう。あと出来たらでいいんだけど、私からお願いがあって聞いてくれるかな」
☆
フィリアは三人に向かってその想いを伝え終えた後は各自明日に備えるために解散となった。
現在は二人並んで仰向けで寝ているクロノとフィリアは明日の模擬戦について語っていた。
「明日は厳しい戦いになるだろうね」
「相手だって弱くないし。でも絶対に負けてやる気はないから、勝つのは私達よ」
「それで決着つけて早く冥獄凶醒を倒しに行かないとね」
「だからこそ、頑張りましょうね」
「もちろん。必ず勝ってやるぞ!」
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