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変化する日常

 いつも変わらない朝を迎えた二人は向かい合って朝食を食べていた。

 

 昨日の夜に水をしっかり飲んだおかげなのか、酔いも残らずに気持ちがいい朝を迎える事が出来たのは非常に良かった。

 

 フィリアも見たところ、いつもと同じなので特に問題はなさそうだ。


「クロノちゃん。今日も特訓するの?」

「そうだね。今日もクォンと約束しているからする予定だけど何かあった?」

「ううん。気にしなくていいよ」

 

 フィリアは拗ねるようにクロノから目線を逸らした。

 

 いつもこういう仕草を取る時は構ってほしいサインでもあるので、優しく問いかける。


「でもフィリア。特訓が終われば僕も時間はあるし。そうだ、昨日クォンに紹介してもらったお店があるけどそこに一緒に行かない?」

「また……そのお店はいいかな。でも時間があるならもらっておこうかな」

 

 始めに呟かれた言葉は聞き取れなかったが、少しだけフィリアの機嫌が戻ったようなので、クロノはそれを見て安心したのか自然と表情を緩めてしまう。

 

 朝食を済ましてしまおうとカップを持ち上げたその時だった。


「クロノ様! セラです! お話したいことがあるのでいれていただいてもよろしいでしょうか」

 

 玄関からセラの声と共に扉が数回叩かれる。


「今行くから待っていて」

 

 クロノはすぐにセラを迎い入れるために手に持っていたカップを置いて、椅子から立ち上り呼ばれてすぐに玄関に向かうと、扉の前には銀の髪に右目に刻印を宿したセラ立っていた。


「おはようございますクロノ様!」

「おはよう」

 

 セラは挨拶を交わした後に、クロノがどこか不思議そうに眺めていたの、それが気になり話かける。


「クロノ様どうかしましたか?」

「あ、いや。特にはないだけど、なんか雰囲気変わった?」

 

 見た目は変わらないが初めて会った時よりも溢れ出る自信のようなものが感じられた。


「ふふ、セラもクロノ様に置いて行かれない様に頑張っているのですよ。それに今はクロノ様に伝えなければならないことがありまして来たのですが、そのことについては中で説明させていただきますね」

 

 セラはそのまま部屋の中に入っていくと、部屋で最後の果物を口に運び終えたフィリアと目が合う。


「あれ本当にセラ? 雰囲気が違ったからわかんなかった」

 

 フィリアは気にしていないように振る舞いながら咀嚼を終えて手に清めをかけ終えた後に払い落とすようにパンパンと叩く。


「そうね。フィリアにそうやって言ってもらえるならセラも食らいついたかいがあったってものね」

 

 セラは本心をそのまま表した言葉を返す。


「なるほどね。でも私だって負けないわよ」

「どうかしら、今度のセラはどんな戦法もとれるからフィリアにも勝っちゃうかもよ」

「そうね。それは恐ろしいわね」

「え、そんなにあっさりなの?」

 

 セラは余程自信があるのか、その言葉は挑発のようにも取れたのだが、フィリアに相手にされなかったことで焦ってしまう。


「あ、ごめん。そういうつもりじゃないけど今はセラよりも決着をつけたい相手がいるから、セラと戦うのはその後ね」

 

 フィリアは服装を整え、出かける支度をしながら会話を続ける。


「フィリアがそんなに戦いたい相手って誰よ。もしかしてクロノ様?」

「どうしてそうなるのよ。クロノちゃんと決着つけても仕方がないでしょ」

「じゃあ誰なのよ」

「ないしょ」

「なにそれ、もったいぶらずに言いなさいよ」

「セラ。よかったらそこに座って用件を教えて」

 

 セラが神妙な顔で問いかけていたが、適当に返されてしまっていると、セラの為にお茶を用意していたクロノが戻って来てしまったので、フィリアに対して疑問は残ったが促された席に腰を下ろし、声を発した。


「早速ですが、セラが先ほど聞いた話で、今日の朝にサリメナ様のお告げによりどうやらセラ達と第二学園の選抜された者達との模擬戦を行うようです」

「な⁉ また唐突に……⁉」

「話は続きます。また新たな冥獄凶醒が発見されたようなのでこの事についても早急に対処すべきと言われました」

「でもそれなら、模擬戦なんてしている暇なんてないんじゃないかな」

「ですが、この事についてはリサリメナ様及びリフィア様も同じ声明をしていると明記されていたようです」

「リフィアまで……どうして……」

 

 冥獄凶醒の影響力は大きいものであり対処に遅れれば、それこそ取り返しのつかないことになる可能性だって考えられる。


「クロノ様。それに関してはどうやら現在も、戦力の把握と状態は随時更新しているようです」

「それなら、いいのかな?」

 

 クロノは冥獄凶醒の脅威を知っているからこそ簡単に首を縦に振れずにいる。


「仕方がないよ、クロノちゃん。リフィアがそう言っているなら従ってあげようよ。それにその模擬戦ってやつ。私は興味あるな」

 

 フィリアは模擬戦に興味を示しているようだが、本当にいいのかと疑問に思ってしまう。


「やっぱり戦っている暇はないよ。すぐにでも対策をした方が……」

「それだとしても情報が錯綜しているので、正確な情報を収集したら突入する予定だそうですよ」

「だってさクロノちゃん。だから、時間もあるようだしやってみようじゃない」

「それなら。……そうだね」

 

 クロノは完全に納得したわけではないがようやく首を縦に振った。


「そういうこと。じゃ、私は出て行くからクロノちゃんは特訓頑張ってね」

 

 フィリアはそう言い残して部屋を出て行ってしまうのであった。


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