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水着選択タイム

「いらっしゃいませっ⁉」

 

 店員が慣れ親しんだ挨拶をこの時声を裏返してしまったのも無理はないだろう。なぜなら親の仇を討ちに戦場に向かう兵士のような殺気を放ち続ける美少女が来店してきたのだから。


「へー。ざっと見た感じそれなりにいいのがあるわね。さて、そうしたら水着を選ぶとするけど審査はクロノちゃんに全て任せていいかしら?」

「え⁉ それって……⁉」

「異論ないわ。さっさと始めましょう」

 

 クォンも特にいうことは無く二人はすぐに水着選びを始めるのに対し、どちらをとっても地獄が見えるクロノはその場で立ち尽くして頭を抱え、その姿を見た店員さんはかける言葉が出て来ず、ただただ同情するのであった。

 

 一方で一部始終を見ていた三人は思いもよらない展開に驚いていた。


「いやーまさかの展開に驚きみゃ」

「まさかクォンちゃんがあんなに対抗するなんてお姉さんも予想外」

「そうっすね。いつもなら適当に言わせておいて気にしないのに、今回は見事に挑発に乗ったっすからね」

 

 三人は気づかれない様に店内に侵入し、この面白そうな展開に少しだけ胸を躍らせていた。


「しかし、勝負となると二人の容姿はすでに同等だみゃ。だからこそ一つ一つの選択が重要となるみゃ」

「そうね。まさにその通りだわ」

「まず水着の評価はいろいろあるみゃ。そこをどうクォンちゃんが攻めるかみゃ」

「え? そうっすか? 種類こそあるっすけど他にあるっすか?」

「アビッソは甘いわね。それとも海岸で男達の目を奪うにはその目隠しだけでことたりると思っているの?」

「え? 全然わかんないっすけど」

 

 本当に分からないでいるアビッソは戸惑ってしまった。


「まずは、二人に合う色と水着。ここは二人の感性からして互角と思えたけど、クロノ様のことをよく知るフィリアさんの方は優勢ね。そうなるとクォンちゃんが勝つにはさらに露出度と補填するアイテムが重要となるわね。クォンちゃんがどう出るかお姉さん楽しみだわ」

「あ、クォンが試着室に行くっすよ」



「あーもう。何でこんなことになったよ」

 

 勝負が始まってから頭が冷えたのか、今の自分が置かれている状況に後悔していた。しかし、だからと言ってここでやめることはだけはしたくない。

 

 それにあれだけ言われて下がってしまっては、今後あの女と出会う度にイラついてしまうし、ここでフィリアに勝つことが出来れば、それなりに優位なれるはずだ。それならばこの勝負も悪くないだろう。


「あたしのとっておきを見せてあげるんだから」



「はぁー。なんでこんなことになっちゃうのかなぁー」

 

 クロノは椅子に腰かけて現在の状況を整理していた。

 

 本当なら仲良くしてほしいけど、フィリアの性格を知っているからこそ、その言葉は言いにくい。

 

 それにこの勝負だってどちらを選んでも、どちらが敗者となってしまう訳で、敗者となった側の末路は大方予想がつく。


 だからこそどうにかして引き分けに出来ないかクロノは思案しようとあごに指を当てたときだった。


「クロノちゃん。どうかな?」

 

 呼ばれた方を見ると思わず「おぉ」と声を漏らしてしまった。

 

 大胆な紅を基調とした水着を着ることによって、フィリアの整っている容姿に加えて新たな魅力が追加され、その新しい姿に目が離せなかった。


「随分と大胆にいったね。あと普段と違った感じがまたいいね」

 

 フィリアの水着の特徴はなんと言っても胸であるが今回は珍しく可愛さを追加しているのか装飾の黒いリボンがまたそれを際立たせている。


「そうでしょ。こういう可愛いのは普段はセラが好んで着ていて私はあまり着ないけど今日の感じだと、こういう水着で勝負したほうがいろいろと有利と思って着てみたの。最初はどうかと思ったけどクロノちゃんに見られた感じだとそれなりに高評価のようね」

 

 フィリアは勝ちを確信したのかそれ以上の追加をしないで満足そうにクロノの隣に座ってクォンが戻って来るのを待つのであった。


「フィリアさん可愛いわ。お姉さんも一緒に海に出かけたくなっちゃう」

「いやーあの体つきにその水着の選択はヤバいっす。さっきはクォンと同等だって言っていたっすけど、あれを見せられては、フィリアさんの方が有利に思えるっす」

 

 遠くで眺めていたタルティーとアビッソもフィリアの姿に釘付けとなるほど、フィリアの水着姿は魅力的だったのだ。

 

 同時にその姿を見て二人は、クォンの事をよく知るからこそ状況はクォンが不利に思えていた。


「二人共何を言っているのかみゃ。確かにフィリアさんはすごい強敵みゃけど、クォンちゃんはそれでもきっと勝てるみゃ。それに審査するのがクロノ様一人なわけみゃし、まだまだ勝機はあるみゃ」

 

 シュメルは二人とは違いフィリアの姿を見ても諦めずにクォンの勝利を信じていた。


「そうは言っても審査するのがクロノ様だからこそクォンちゃんは不利なわけで、たぶんそれを理解しているフィリアさんはあの水着を選んだと思うっすねー」

「確かにフィリアさんがあの可愛らしさを取り入れてくるとは思っていなかったわね。お姉さんが予想としていたのはもっと大胆なクールで攻めてくると思っていたのになー」

「あとはクォンちゃんがどういう水着を選ぶか注目みゃ」

 

 三人は気づかれない様にクォンが出てくるのを待つのであった。


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