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突然始まったデート

「せっかくいいところだったのに学園もシュメルも空気を読みなさいよね!」

「まぁまぁクォン落ち着いて」

 

 クォンは先ほどの模擬戦について振り返っていたが、お互いに力を出していた戦いだったので、戦っている最中に気持ちも高ぶったところで、シュメルの乱入により学園が二人の戦闘により被害を受けていると言われ、中断を余儀なくされると、更にシュメルが二人が学園にいるといろいろと困るからと言ってこうして外に出されてしまった。


「仕方がないよ。まさか特訓場がもたないとは思っていなかったけど、これ以上迷惑をかける訳にはいかないからね」

「模擬戦が途中で中断するのは置いとくとして、問題は今のあたし達の状況よ。急に出て行けとか言われても、やることがないからどうすればいいのよ」

「それに関しては僕も出来れば部屋で大人しく本でも読めれば良かったけど」

 

 フィリアが夜に部屋に来るようになってからは、出来るだけフィリアと出来ることを優先しているので、せっかく借りている本もまだほとんど読めていない。


「うーん。そうしたらやることもないし、いわゆる観光地とかにいろいろと行ってみる?」

 

 ヴィゼン王国は他国とのほとんど交流がない国なので他の国の人をもてなす観光地というものは整備されておらず、基本は現地の人が知る名所として扱われている。


「時間もあるし、案内をお願いしようかな」

 

 クロノはクォンに案内してもらおうと手を前に差し出す。


「え?」

 

 手を差し出されたクォンは戸惑っている様子を見て、クロノは慌てて手を引っ込める。


「あ、ごめん。フィリアだといつも手を繋いでいたから。それにクォンってどこかフィリアに感じが似ているから」

 

 クロノは後ろ髪をくしゃくしゃと掻きながら照れくさそうに手を引っ込めようとすると、クォンはすかさずその手を取った。


「あの女に似ているって言われるのは嫌だけど、せっかく差し出されたなら、付き合うのもあたしの役目だから、しかたなーく、今日は手を繋いであげる! ほらっ! 行くわよ!」

「ちょ、引っ張らないで!」

 

 クォンはクロノの手を引っ張って走り出すのであった。


「さて、上手くいったみゃ。あとはクォンちゃんとクロノ様が仲良くなってくれればいいみゃ」

 

 建物の陰から二人を覗いていたシュメルは作戦第一が無事成功したことに笑みを浮かべながら喜んだ。


「シュメル。今回は何をするつもり? そろそろお姉さんにも教えてくれないかしら?」

「そうっすよ。うちらを連れ来たんすから教えてほしいっす」

 

 シュメルによって一緒に連れて来られていたアビッソとタルティーがその隣で口を尖らせて文句を言う。


「二人にここまでついて来てもらったのは、これからみゃーのみが受けた極秘指令を手伝ってほしいからみゃ」

 

 シュメルのただただならぬ気配に二人は息を飲んだ。


「極秘っすか。それはまた難易度の高い任務がきたっすね」

「そうね。でもなんかお姉さん的に絶対聞かないほうがいい任務な気がするのはなぜかしら」

 

 任務と聞いてテンションが上がったアビッソと、対照的に嫌な予感がしているタルティーを前にして、ひそひそと話す。


「じつはだみゃ。今日みゃーのところにだけサリメナ様のお告げがきたみゃ。その内容がもっとクォンちゃんとクロノ様を近づけろということだったみゃ。それでみゃーは少し考えたみゃ。まずクロノ様の近くには、あのフィリアさんがいるみゃ。それにセラさんやイフルさんもいるからその人たちを出し抜いてクォンちゃんが気を引くのは困難だと考えたみゃ。そうなると、クォンちゃんがクロノ様に近づかせるにはみゃー達が手伝ってクォンちゃんとクロノ様との仲を更に進展させなければならないみゃ!」

 

 シュメルは天に拳を掲げ、みゃー! と一人意気込んでいた。


「これクォンちゃんが知ったら絶対怒るわよ」

「でもサリメナ様からの任務であれば行かなければならないっす!」

「アビッソの言う通りみゃ。ここはなんとしてもサリメナ様の任務を無事終えることが重要みゃ」

「そういえば、なんでサリメナ様がそんなにクロノ様とクォンちゃんのことを近づけたがるかしら?」

「そ、それは多分同じ使徒だから、今後の冥獄凶醒(めいごくきょうせい)とかとの戦いで連携してほしいからみゃよ!」

「でもなんか違和感があるのよね」

「タルティーは心配しすぎみゃ! みゃー達はサリメナ様からの任務が大事みゃ。そんなの気にしないで行くのみゃ!」



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