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クォンの力


 クロノは今日も日課である特訓をするために特訓場に来ているのだが、いつものならクォンが来ている時間になってもクォンは来ていなかったのだ。


「クォン遅いな。来ないなら呼びに行こうかな」

 

 部屋の場所も覚えているので、来ないならこちらから呼びに行こうと扉を開けた瞬間にお互いに目が合った。


『あ……』

 

 予想もしていなかった出来事に二人は言葉を失ってしまったが、先にクォンが慌てた様子で声を出す。


「お、遅れてちゃってごめんねクロノ。結構待った?」

「そんなに待っていないけど、クォンが来ないから呼びに行こうと思っていたところだよ」

「そ、そっか。それなら行き違いにならなくてよかった。それじゃ、特訓を始めよう」

 

 クォンは特訓場の中に入るとパタパタと足早に行ってしまう。

 

 それからはすぐに準備運動を開始して動ける態勢を整えているのだが、その姿はいつもよりも忙しい気がする。


「ところでクォン。なんかあった?」

「な、何にもないよ! それよりも今日はお互いに使徒の能力を使って特訓しようと思うの」

 

 クォンの言動に怪しさを感じていたクロノであったが、それよりもいよいよ使徒の能力を使った特訓が始まることに身震いした。


「いよいよだね。それにやっとクォンの能力も見られるんだね!」

「見せるって言ってもそんなに変わらないから、期待されるとなんか恥ずいな」


 クロノがやや興奮気味に話す姿に、クォンは少しだけ照れてしまう。


「ごめん、ごめん。でもようやくクォンの気になっていた力が見られると思ったらつい」

「でもあたしもクロノの力が気になっていたからお互い様ね。じゃ、クロノから力を解放してくれないかしら」

「うん。わかったよ」

 

 クロノは静かに力を込めて力を解放し、その身体から放たれる力に当てられたクォンはたまらずに身震いした。


「その力を見るのは初めて特訓場で会った時の以来ね。でもこうして近くで見るとその力の強さがよくわかるわ」

 

 まだ経験は浅いが充分といっていいほどに死線をくぐってきたその力には確固たる力が感じられた。

 

 だが、その力を前にしてもクォンにはそれ以上の力が自分にあることを自負していた。


「次はあたしの番ね。それじゃいくわよ」

 

 クォンは手を天に掲げると、白い光に包まれ光が消え去ると変化した服装と両手には先ほどには無かった銃が握られていた。


「へー! クォンの武器って銃なの⁉」

 

 使徒の力を解放して一息つく間もなくクロノが興味本意で近づいて来て手に持っている銃を珍しそうに見てくるので、クォンはたまらずに声をあげた。


「そんなにじろじろ見ないでよ。恥ずかしい」

「でも銃って結構珍しい武器だし、持っている人も少ないから初めてみたよ」

 

 クォンはクロノに近づかれて恥ずかしそうにしているが、クロノの目には銃しか映っていなかったので、このことをお互いに気づかなかったのはお互いにとって良かったのかもしれない。


「そんなに見たいなら、ほら持ってみてもいいよ」

 

 クォンは銃を一つ手渡すとクロノはありがたく生まれて初めて銃を手に持った。


「いやー。剣もかっこいいけど、銃もかっこいいよね。それに遠距離から威力のある攻撃ができるから相手から反撃にも対処しやすいしクォンはいい武器を持っていて羨ましいよ」

 

 色々な角度から見せてもらい、充分堪能させてもらってからクロノはクォンへと銃を返した。


「ま、まぁ、クロノの言う通り、あたしの銃はとっても強いからね。あと褒めてくれたことは素直に受け取っておくわ。さて、お互いに力も解放したことだしちょっとした模擬戦でもしてみましょうか」

「え? でも、僕たちの力ってそれなりに強いから、戦っている最中に怪我とかするかもしれないし危なくないかな」

「大丈夫よ。その為にお互いに防御魔法をかけておけば、それなりに防げるし本当に殺し合う訳じゃないんだから、抑えてやれば問題でしょ」

 

 クォンに言われてみると確かに、防御魔法とお互いを意識した戦いであれば、クォンの言う通り模擬戦は可能であるだろう。

 

 それに使徒としてクォンの力がどれ程あるのか知りたいので、ここはクォンの提案に乗ることにした。


「わかった。やってみよう!」

「じゃあ、防御魔法を唱えて準備ができたら始めるわよ」

 

 二人は防御魔法を唱えて模擬戦を開始するのであった。


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