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二回目の特訓

 次の日朝各自で朝食を済ませてから、クロノはクォンと特訓をするために今日も特訓場に来ていた。


「おはようクロノ。準備は出来ている?」

「おはよう。ちゃんと準備完了だからいつでもいけるよ」

「それなら、さっさと特訓を始めましょうか」

「よろしく。それで今日は何をするの? もしかして昨日と同じ基礎練じゃないよね」

 

 前日はクロノが持つ使徒の力を使わずにひたすら地味できつい測定をされて最後には体を柔軟にするためにクォンの補助が入った柔軟体操が行われた結果、悲鳴をあげながら一回目の特訓を終えたのだ。

 

 終わったあともなかなか体が動かなかったため、この特訓場を出るのにかなりの時間をかけたのだ。


「あれは、昨日で終わり。でも、もしかしたらまたやるかもしれないから、痛い目にあいたくなければ自主的にしておくことね」

「そうしておくよ……」

「さて、そうしたら今日の特訓だけど、昨日の計測のおかげでクロノの基礎がどれぐらいあるのか分かったから、今日は近接格闘での計測ね。はい。これ着けて」

 

 クォンはぽいっとグローブを渡され、言われたとおり装着する。

 ちょっとだけ硬めの素材でできているグローブは手袋のようで手首から先を覆っていた。


「それで今日の特訓は近接格闘って言ったけど、普通に戦っていいの?」

「なんだなんだ。いきなり余裕の発言とは、クロノは先輩をバカにするのかね。それともあたしが女だからってなめているのかしら」

「いや、そういう訳じゃないけど、殴って怪我とかしないかなって思ってさ」

 

 クォンの口調からして怒っている声音というよりも、おちょくっている声音であったので、クォンもクロノに言われることをある程度予測していたように見えた。

 

 またクロノもクォンも使徒であるから弱いなんて全く思っていなかったが、お互いに使徒であるからまともに戦えば怪我をする可能性だって考えられるので、どちらかというと怪我の心配をしていたのだ。


「安心して、そのためにグローブを渡したんだから。そのグローブは当たる寸前にダメージを軽減してくれるの。だから、問題はないわ」

「軽減か……ということは、少しぐらいはダメージがあるのか」

 

 クロノは明らかに嫌そうな顔をしたためクォンが声をかける。


「安心しなさいって、この特訓はあたしたちも普段からしている特訓方法だし、痛いと言ってもそれほどだから平気だって! それに本来はこれから戦う脅威に立ち向かうための特訓だからやらないと強くなれないわよ」

 

 背中を叩かれながら説明され、納得したわけではないがクォンが言うことにも一理あるので、頷きながら自分に言い聞かせる。


「そうだよね。クォンの言う通りここで強くならないと本当の戦いの時のためにならないし」

「そういうこと。それじゃ始めましょうか」


                   ☆


 その頃、朝食を終えたタルティーとアビッソは並んで廊下を歩いていた。


「今日もいい天気ねぇー。おかげでお姉さんも調子がいいわぁ」

「そうっすね。昨日の夜から天気がと良かったっすから、シスター達もイベントが上手く出来て良かったって言ってたっすよ」

「あー、それって妖精に変装した大人たちが子供達にお菓子配るイベントでしょ」

「そうっす。妖精さんたちと仲良くなって、それで最後のお別れにお菓子をあげるっていうやつっす。今回は広報も力を入れて、本当に妖精が手に入るかのように記載したようっすから、騙された子供もいたかもしれないっすね」

「さすがに毎回やってたらバレちゃうもんね。でも昔に妖精使いになったって人もいたっていう歴史もあるから、もしかしたらあるかもしれないわね」

「どうやら、今来ているシスターさん達も参加してくれたようで、金の縦ロールさんは妖精役をしてくれたらしいっすし、銀髪のシスターさんは子供達と一緒に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()そうっすよ」

「あら、それはありがたいわね。今度会った時に参加した感想を聞いてみたいわ」

 

 金の縦ロールことイフルと銀髪のシスターセラはアビッソが言っているイベントに自ら志願して参加した話はまた後程知ることになるだろうが、その話はきっと二人の本心から語れる話ではないだろう。


「妖精は基本、妖精の国に住んでいるっから、詳細が不明っすけど、まぁうちらみたいな種族もいるっすから、いても驚きはしないっすね」

「妖精もそうだけど、お姉さんはエルフも見た事無いし、出来たら一回は見てみたいわ」

「うちは種族的にエルフよりもダークエルフを見てみたいっす」

 

 二人が仲良く話していると慌てた様子のシスターが二人を見つけると、急いで駆け寄って来る。


「あの! クォン様がどちらにいるか知りませんか!」

「お姉さんたちは知らないけどどうしたの?」

「クォン様が勝手にグローブを持って行ってしまったようなんですけど、実は片方がまだ調整出来ていなくて」

 

 慌てた様子のシスターが持っていたのは、タルティー達も近接格闘の演習を行う時に使っているグローブであった。


「クォンちゃんってクロノ様と特訓しているんじゃなかったけ?」

「もし、それならやばいっす!」

 

 三人は急いで二人を探すのであった。


最後まで読んでいただきありがとうございます! ブックマークをしていただいた方ありがとうございます! 引き続きブックマーク、評価、感想をお待ちしております!

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