表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
153/177

喧嘩仲裁神

「サリメナのことについて聞きたいのか」

「どうしても知っておきたいから教えてもらえると助かるし、もしかしたらクォンのことで何か役に立てるかもしれないから教えて、リフィア」

「教えることは問題ないのじゃが、わらわもクロノに聞いておきたい事があるのじゃが、いいかの?」

「ん? なにかな?」

「クロノはフィーちゃんのことはどう思っておるのじゃ?」

「急にどうしたの?」

「いいから答えるのじゃ」

 

リフィアはどうやら真面目に聞いているようなので、素直に答える。


「変わらず好きだけどそれがどうかしたの?」

 

その返事にリフィアはどこか安堵したように息を吐いた。


「よかったのじゃ。おぬしの気持ちは変わっておらぬということじゃな。ちなみフィーちゃんはどうじゃ?」

「フィリアはどうだろ? 好きでいてくれると嬉しいけど、今は喧嘩中だし」

「なんじゃ? 喧嘩中とはどういうことじゃ」

「僕もどうして怒ったのか分からなかったけど、たぶん僕が隠し事をしていたから怒ったと思ってる」

「ほー。フィーちゃんが怒る隠し事となると嘘をついたか女絡みである可能性が高いの。それで何を隠そうとしたのじゃ」

「リフィアの予想通りだけど、このことは言わない約束をしているからリフィアにもできれば言いたくないんだけどなぁ」

「しかし、それではまたフィーちゃんと会った時に怒らせてしまうぞ」

 

リフィアの言う通りクォンの事を隠せばさらに怪しまれるのは間違いない。

 

それに僕の目の前にいるのは神であるリフィアだ。

 

 リフィアが秘密を勝手にばらすことはないと思うし、それならば信用して相談してみてもいいだろう。


「リフィアは神様だし、口は堅いよね」

「もちろんじゃ。今まで聞いたお願いは全てわらわが大事にしまっておるから、勝手に誰かに話す事はないのじゃ」

「それなら言うね。実はその隠し事の内容はここにいる使徒クォンについてで、クォンは使徒を辞めたいって言っていて、どうすればいいか悩んでいたんだよって、リフィア聞いてる?」

「お、おう。聞いていたのじゃ。そうか、クロノもその事を知っておったのじゃな」

 

 リフィアはまさかサリメナが言っていたことを、すでにクロノが知っていることに驚いて一瞬頭が真っ白になってしまったのだ。


「もしかしてリフィアも知っていたの?」

「そうなのじゃ。わらわもサリメナから相談を受けていて、いろいろと提案をしていおいたのじゃ」

「そっか、そのサリメナもクォンが使徒を辞めることに困っていたんだね」

「そうじゃな。困っているのは間違いないじゃろう。しかし、その対策がまた難儀な対処であるのじゃよ」

 

 クロノがクォンと接触している可能性は高いと思っていたが、まさか辞めることについても話しているとは思っていなかった。

 

 だが、それならそれでこの状況はサリメナの愚策を防ぐことができるというわらわにとっても好都合な状況でもある。

 

 それにサリメナの都合による作戦など知った事でないし、あの作戦は間違いなくわらわ側にもデメリットがあるのは間違いない。

 

 それにクロノにはすでにフィーちゃんとの関係があり、その関係は二人が苦難を乗り越えた結果により芽生えたものである。それを作業的な行為で汚されるのはあまりにも納得できない。


 また二人の関係を利用すればサリメナの思惑を防ぐと同時に、さらに二人の仲をいい感じに発展することができるだろう。


 それならばまずはこちら側の問題を片付けなければならない。


「クロノよ。さっきフィーちゃんと喧嘩をしていると言っておったの」

「そうだけど、それがどうしたの?」

「絶対に今日中にフィーちゃんと仲直りをしておくのじゃ。それと、その使徒が辞めるということをフィーちゃんが必要以上に興味を持つとも思えないのじゃが、言ってしまえば女絡みの問題であるから、それがフィーちゃんにとって問題であるじゃろう。だから必要以上に余計な事は言わない事じゃ。それでもってクロノはフィーちゃんに許してもらうのじゃ」

「でも、クォンの事を隠してどうやって仲直りすればいいのさ」

「それは簡単なことじゃ。フィーちゃんに一番愛していると言うのじゃ」

「へ?」

 

 リフィアに言い放たれたクロノは、その言葉によって思考が停止してしまい、何を言えばいいのか分からなくなってしまったので、とりあえず、その提案をもう一度繰り返してみたが、その一言を言うのはかなり恥ずかしいことは理解した。


「それ本当に言わなきゃならないの?」

「まぁここまで直球でもなくてもいいのじゃが、なるべく混じりけのない純粋で伝わりやすい言葉がいいじゃろう」

「また、簡単そうに言うんだから」

「でも、フィーちゃんは間違いなくそのほうがいいと言えるじゃろ。フィーちゃんはああ見えて単純な性格だから余計な事をするのではないぞ。さて、これでクロノとフィーちゃんの問題も片付いたし帰るとするかの」

 リフィアは満足そうに椅子から立ち上り、帰るための扉を出現させようとしたその時、その手をクロノが掴む。

「ちょっと待ってリフィア! まだサリメナの事を聞いていないよ」

「ああ、そうだったのじゃ。忘れておったのじゃ」

 

 途中から話が脱線し、フィリアとの仲直りの話題となってしまったが、クロノにとっての本題であるサリメナについて知ろうとするのであった。




最後まで読んでいただきありがとうございます! 引き続きブックマーク、評価、感想をお待ちしております!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ