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お互いの想いの衝突


「クロノちゃん。昨日の夜は何をしていたの?」

「いや、だから、昨日は体を動かしていただけだよ」

「ほんとうに?」

「だから本当だって」

 

 朝食が終わってから、クロノは自室でフィリアから問いただされていた。

 

 その声音から察するにどうやらフィリアは怒っているようだ。クォンとの会話でも少しだけいざこざはあったが、フィリアはあまり気にしないはずだ。

 

 それなのにこれ程怒っているとなると、フィリアのセンサーが何かを捕らえたと思われるが、なぜフィリアがこれ程怒っているのかクロノにはわからなかった。

 

 またイフルにも話があると言われているので、早くイフルとも会いたいのだが、今のフィリアを放置して向かえるなんて到底思えない。

 

 その時、フィリアの右手が僕の左頬をかすめるぎりぎりを通過し壁にバンッと音を立てて、その大きな目をさらに近づける。


「ねぇクロノちゃん。今。女の事を考えていたでしょ」

 

 ずいっと、前に寄られて更に壁に背中を押しあてる。


 フィリアは相当な美人であると同時に気も強いので、体に感じる圧はかなり強い。


 しかし、これ程怒っている理由が思いつかない僕にとってこの事態は、どうしたらいいものか。目の前には、何故か怒っているフィリアがいるし、ここは昨日の出来事を振り返りながら話してみよう。


「フィリア。それなら僕が昨日の夜何があったか説明させてよ」

「……許す」

 

 フィリアは頷きながら、話す許可をくれた。てか、許すって。


「昨日は歓迎会があったよね。で、そのあとに眠れなくて特訓場に向かって体を動かしていたんだよ」

「うん。そこまでは聞いたよ。問題はそれから」

「で、その途中にクォンと出会ったんだよ」

「へー。あいつと出会っていたんだ。なによ。私が待っていたのに」

 

 クォンの話をすると更にフィリアは不機嫌になってしまい、気を使ったクロノは、最後の言葉聞き逃してしまった。


「それで、そのあとはクォンに連れられて、部屋にお邪魔したんだよ」

「ッ! クロノちゃん、夜にあいつの部屋に行っていたの⁉」

「そんなに大声を出してどうしたの⁉」

「べつに!」

 

 あり得ないと言いたげな口調で声を荒げて、ぷいっと頬を膨らませて横を向くフィリアに、どうしたものかと後ろ髪を掻くクロノだが、とりあえず説明を終える為に話を続ける。


「そのあとは、お酒を飲みながら、いろいろと話していたんだよ」

「……その話の内容はどんなの?」

「僕が使徒になった理由についての話だよ。クォンは同じ使徒として興味があったみたい」

「それだけで話は終わったの」

「うん。まぁそれで終わったよ」

 

 この時にクロノは嘘をついていた。しかし、クォンと約束した以上、フィリアであったとしても伝えることは出来ない。

 

 クロノはクォンの悩みについては話さないでくれと言われているので、何も無かったように振る舞ったが、フィリアはクロノが一瞬言葉を詰まらせたのを見逃さなかった。


「クロノちゃん。何か隠しているでしょ」

「何も隠してなんかいないよ!」

「嘘よ! クロノちゃんは何か隠してる!」

「だから知らないって!」

 

 声を荒げるフィリアに対してクロノも自然と声を荒げた。しかし、その行為は逆効果であった。


「なによ! そんなに言えない事なの!」

「言えないもなにも知らないから言えないんだよ!」

 

 クロノが言い放つと、その一言でフィリアは言葉を失い黙ってしまう。さすがに言い過ぎたと思って謝ろうとしたが、怒っているフィリアにはすでに遅かった。


「もういい! 知らない! クロノちゃんのばーか!」

「フィリア! ちょっと待って!」

 

 ばたんと扉を開けて走り去ってしまったフィリアをクロノは追うことも出来ず、唖然としていると、


「やれやれ、入るかどうか悩んでしましたが、入らなくて良かったです……ね?」

 

 眉根をひそめたイフルが、困ったクロノに同情するように現れるのであったのだが、クロノにその顔を見られてからため息をついたので、最後は疑問形となってしまう。


「イフルさんってなぜかタイミングが悪いよね」

「それって私のせいですか⁉」


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