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情報提供

「さて、着いたのみゃ、クロノ様。降りる時そこに段差があるので気をつけるみゃ」

「うん。わかった。よっと!」

 

 ワープポイントから移動して無事ヴィゼン王国に到着したのだが、到着した先も同じような部屋だった為、今のところは実感がそれ程なかった。


「あれ、三人はもういないのか」

「そうだみゃ。あの三人は先に部屋へと案内するように行ってあるから今は、部屋にいると思うみゃ」

「それなら、僕もこれからフィリア達がいる部屋に案内されるのかな?」

「いやいや。クロノ様はこれから冥獄凶醒とやらの情報を提供してもらうみゃ。それでその後にうちの使徒ちゃんに会うことになっているみゃ」

「分かった。それじゃシュメルさん案内よろしく」

「かしこまりましたみゃー」

 

 部屋を出て階段を上ると、学園内は第一学園とそれ程変化はないが、一番の違いは外にあった。


「おー、すごい。海が見える」

 

 天気も雲一つない快晴で、太陽から放たれる光によって、海はキラキラと宝石箱のように輝いていた。


「クロノ様。海を見るのは初めてかみゃ?」

「初めてではないけど、こんなに綺麗な海を見たのは初めてだね」

「そうだったのかみゃ。ここの海は魚介類もいっぱい獲れるし、今では荒れることも少ないから、とってもいい海みゃ」

「そうなんだ。それにしても、第二学園はいい場所に建てたんだね」

「……そうだみゃ。ここはいい場所なんだみゃ!」

 

 シュメルのこの一言には計り知れない思いが詰まっていたことに、クロノは気がつくこができなかった。

                      

                   ☆

 

 その後、クロノは第二学園のシスターとモンク達に、冥獄凶醒(めいごくきょうせい)及び(まがつ)について知る限り情報を提供した。 

 

 クロノの話一つ一つが、この部屋にいる全ての者が馴染のない話であったため、真剣にクロノの話に耳を傾け続け、クロノが話を終えると、今度は質疑応答となり、お互いに疑問をぶつけ合った。


 この時は、クロノにも答えられない質問もいくつかあったが、それも今後考えられる可能性があった為、警戒というレベルで、新たな情報が追加されていく。

 

 議論は夕方になるまで続き、途中からクロノは話し合いに参加できないほどとなったが、議長の閉会の合図により、先ほどまでの激しさが嘘のように静かになり、その中で議長の声が部屋中に響き渡る。


 「それでは、本日の話合いは以上になります。クロノ様ありがとうございました」

 

 議長に視線を送られるとクロノは、立ち上がって一同に頭を下げる。


「では、各自解散してください」

 

 議長の解散の指示により、席を立って各々の持ち場へと戻って行くと、部屋に残ったのはクロノとシュメルだけとなり、クロノはその事を確認すると机に伏せて頬と机を密着させると火照った頬に気持ちのよい、ひんやりが伝わる。


「あ~。すっごく疲れた」

「お疲れ様みゃ。みんなクロノ様の話が気になっていたから、珍しく興奮していたみゃ」

「そうだよね。最後のなんて、みんなすごい声を出し合っていたのに、終わったとたんすぐに出て行ってしまうからね」

「そうなのみゃ。ここのみんなは、規律は守るように言われているから、ああなったとしてもみんな守っているみゃ。それはさておき、今日はこれでお仕事も終わりだし、夕ご飯を食べに行こうみゃ」

「そうだね。今日の夕ご飯は何なの?」

「今日はすぐそこの海で獲れた新鮮な魚介類をいっぱい使った料理みゃ」

「お、何それすごく美味しそう!」

「とっても美味いみゃ。それにみんなの歓迎会も含まれているから、いつもよりも豪華なはずみゃ」

 

 シュメルは、大きく手で丸を描いて今日の歓迎会の大きさを表現する。


「歓迎会をしてくれるの⁉ 急に決まったのに、何だか申し訳ないね」

「いやいや、クロノ様はリフィア様の使徒ですみゃ。だからこそ、しっかりとおもてなしをするのは当然のことだみゃ」

「そっか。やっぱり使徒ってすごいんだね」

「そうですみゃ。使徒様はすごいんだみゃ」

 

 シュメルは口では褒めているが、その表情にはどこか寂しさが含まれていた。だが、すぐにいつもと同じ明るい表情に戻り、クロノに向かって、みゃあみゃあと話かけるのであった。


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