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耳をぴこぴこ

 クロノ達四人は、案内人のシスターによって学園の地下に案内されると、その部屋にはワープポイントが設置されており、ワープポイントの近くにいたフードを被りシスター服を着た一人の女性が、四人が部屋に入って来たことに気づき声をかける。


「おー、時間どおりちゃんと来たのみゃ。えーと、君が第一学園のクロノ様かみゃ?」

「そうだけど、君は?」

「みゃーの名前はシュメルみゃ。今回、ヴィゼン王国への案内役をさせてもらっているみゃ」

 

 シュメルは、挨拶を終えてからフードを外すと、頭のてっぺんには白い二つの耳があることから、どうやら亜人種であるようだ。

 

 シュメルはその白い耳をピコピコと動かしながら、四人をサッと見てから話を続ける。


「どの子も特徴があって可愛いみゃ。クロノ様はこんなに可愛い女の子に囲まれてそれは楽しい毎日を送っているのかみゃ?」

「そんなことないよ。いたって普通だよ」

「そうなのかみゃ? そこにいる噂のフィリアさんなんて、夜のお供をしてもらったら最高に嬉しいと思うけどみゃ?」

 

 むふふ~と声を漏らしながら、視線をフィリアに送るシュメルだったのだが、一番その内容で取り上げて欲しくないフィリアを当ててしまい、クロノは焦りながら、対応しようとしたが、先にフィリアがポツリと呟く。


「私そういうの、下手だから、相手は無理だわ……」

「えーそうなのかみゃ。それは残念だったみゃ」

 

 無意識にクロノを見るシュメルだったが、クロノはこの時こっちを見てほしくなかった。


「そうね。残念よね。だってこんな私だもの」

 

 フィリアの自虐めいた声音と少しだけ笑顔を見せているのだが、その表情は決して明るいものではない。


「はい。この話題終わり! シュメルさん案内よろしく!」

 

 クロノは手をパンパンと叩いて、話題を切り上げる。


「それにしても、学園の中にワープポイントがあるなんて、知りませんでした」

「それはそうみゃ。これは、特別な事が無い限り使ってはいけない決まりになっているみゃ。その理由はこれから向かう、ヴィゼン王国が鎖国を行っているせいみゃ」

「鎖国? ってなにかな?」

 

 クロノはその聞きなれない鎖国という言葉に、シュメルに尋ねると、代わりにイフルが答える。


「クロノ様。鎖国と言うのは国交が無い、もしくは特定の国との国交を行う国のことです」

「なるほど、それが鎖国か」

「そうみゃ。本来ならヴィゼン王国とセドナ王国とは正式に国交を行っていないから、通常は入国は出来ないけど、サリメナ様のお告げのおかげで、こうしてクロノ様達を招くことが出来たのみゃ」

「へぇー。そうなんだ」 

 

 前日の話であった手続きがまさか、これ程大変な事だったとは思ってもいなかったので、今度リフィアに会った時にお礼を言わなければ。


「さぁー。ここでの話はここまでにして、後はあっちに行ってから話すとするみゃ。それじゃ、三人は先に行っておいてほしいみゃ。」

「私達が先に向かってしまってもよろしいのですか?」

「いいのみゃ。あっちですでに、シスター達がみんなのお出迎えの準備をしているから、到着したらシスター達の案内に任せてほしいのみゃ。」

「分かりました。ほらフィリアにセラさんも行きますよ」

 

 イフルは二人の手を取ってワープポイントへ一緒に向かう。


「クロノちゃん。またあっちで会おうね」

「セラも待っていますからね」

「うん。僕もすぐに行くからね」

 

 フィリア達三人は、ワープポイントが起動されると同時に転送され、この部屋にいるのはクロノとシュメルの二人だけとなった。


「じゃあ、僕たちも行くとしますか」

「あ、その前にクロノ様ちょーといいかみゃ」

 

 すすっとクロノの下にピコピコと耳を動かして、寄りそうシュメルに、驚く素振りをするクロノだったが、シュメルはクロノの耳元に囁く。


「クロノ様は使徒になってよかったみゃ?」

 

 クロノはその問いに対して反射するように答える。


「うん。よかったよ」

「まさかの即答とは驚きみゃ! クォンちゃんとは大違いみゃ」

「ん?なんか言った?」

「いや、なんでもないみゃ」 

 

 シュメルはみゃみゃと言いながらわざとらしく後ずさりをしながら、クロノから離れたため、クロノはシュメルの言った言葉の最後をよく聞きとれなかった。


「シュメルさん。それを聞いてどうしたの?」

「ただの、みゃーの興味本位からの質問だから気にしないでほしいみゃ。さて、そうしたら、みゃー達も向かうとするみゃ」

 

 シュメルは、すたこらとワープポイントへと向かい、クロノも早く来るようにと手招きをする。


「クロノ様―! 早くこっちにくるみゃー」

「うん。すぐに行くよ」

 

 クロノはこれから向かうヴィゼン王国に、期待を持って移動するのであった


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