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またみんなと会えた

 

 アルチベータがクロノに手をかけようとした時、雷麟(らいりん)が再度電撃を纏って疾駆し、その剛脚をアルチベータに向けて放ったが、その蹄を何とか再生した腕で受け止める。


「ガアゥアアアアッ‼」

 

 離せと言わんばかりに暴れる雷麟であったがアルチベータはそれを一切許さない。


「あなたも私をここまで痛めつけてくれたな」

 

 アルチベータは腹立たしい存在の一つである雷麟の蹄を握り潰す。


「ビィィイイイッッ!」

「あなたも目障りよ! 消えなさい‼ 終締緋紅(しゅういていひこう)‼」

 

 蹄を破壊されてもなお立ち向かおうとする雷麟であったが、アルチベータが放った終締緋紅が、雷麟に巻きつきそれでも雷麟は電撃を放ち抵抗するが、それよりも先に終締緋紅の能力である触れたものを爆破させる能力により、雷麟の体は一瞬にして爆散し、消え去ってしまう。


「ガアアアアアアアアアアッッ‼」

 

 その鉄の体の一部をアルチベータは、大きく肩で息をしながら踏み壊すと、眼前にいる息絶えたクロノを見下す。


「ようやく、終わりましたね。それでは解体を始めましょうか」

 

 アルチベータの姿は元の人型に近い姿に戻っており、負傷した箇所全てを修復したわけではないが、これからすることに対してこれだけ回復すれば充分と判断し、すでに息絶えたクロノを触れようとしたその時、


「フレルナ。冥獄凶醒」

 

 突然発せられた言葉に、アルチベータは驚愕し、すぐにクロノから離れるが、クロノを瞬く間にアルチベータに接近すると、大きく口を開いて、その喉元に噛みついた。


「グッ、アアアアアアアアアアッッ!」

 

 何が起こっているか分からなくなっているアルチベータは必死に、クロノを引きはがそうとしたが、その力は考えられないほど強く、また、アルチベータは自身の力が奪いとられ、その力が抜けていくのを感じた。

 

 だが、それでも抵抗をしようと再生した右腕を振るおうとした時だった。


「ジャマするな」

 

 クロノは左腕を突き出して、アルチベータの体の中まで押し入れると、その奥にある核に手をかけた。


「アアアアアアアッッ……」

 

 アルチベータは自身の命である核に手をかけられ、なすすべなく食われている。


 この冥獄凶醒であるこのアルチベータが食われていることに、諦めず抵抗を続けるが、圧倒的な力により、意識が遠のきそうになる。


 だが、その一歩手前で、急にクロノの力が抜けると、その瞬間を逃さずに何とかクロノを振り払って、どうするかと頭をフル回転で回して模索すると、


「アルチベータ様! こちらです!」

「はやく!」

「コロン! メレル!」

 

 二人はアルチベータの帰還が遅いことから状況を見にやって来たのだ。アルチベータは手を伸ばす二人の手を握り 後ろを振り向くと再びクロノは地に伏していたが、アルチベータはこれ以上攻撃するのを止めて忌々しく呟いた。


「ここは引かせてもらいますが、あなたとはまた会いたくないものです」

 

 その言葉はアルチベータにとって簡単に口にすることが出来ない言葉であり、これ程自身を追い詰めた存在に僅かな敬意を捧げたのである。

 

 二度と会いたくない不気味な存在から離れるように、アルチベータは二人の手を握って、そのままどこかへと消え去ると、同時に半壊していた屋敷は消え去ったのだが、今も終締緋紅によって燃え上がる木々が周囲を燃え上がらせており、クロノはその中で地に伏していた。

 

 バチバチと音を立てて周囲を燃え上がらせる火の海の中で、少しづつ近づくその火の海の中から、金の髪を縦ロールに整えたイフルがそのクロノの姿を見つけると、急いで駆け寄り保護するのであった。


                    ☆



「う……うん。ここは?」

「気がつきましたか! クロノ様!」

 

 目に入ったのは、縦ロールをぶらぶらさせて喜びに満ち溢れた表情のイフルであった。


「二人共、クロノ様が起きましたよ!」

「よかったです。しかしここで寄り添えないセラは自分の力の無さに、がっかりしています」

「私も、セラと同じで動けないのが残念だわ」

 

 イフルはまだ元気が残っていたが、フィリアとセラはかなり消耗しているようなので、ぐったりしているが、二人はハッキリと意識があるようなのでクロノはようやく胸を撫でおろすことが出来た。


「僕どうやってここに?」

「それは私がここまで連れて来たからですよ。屋敷が消えて、クロノ様が勝ったんだと思いましたが、周囲の火が凄かったので心配になって急いで向かったら、クロノ様が倒れていたので、救出させてもらいました」

「そっか、ありがとうイフル」

「いえいえ、火は私にとって恐れるものではないので。ただお礼はしっかり受け取りましたよ」

 

 イフルは嬉しそうに声を弾ませていた。


「もっと話を聞きたいですが、皆さんボロボロなのでまずは学園に戻りますしょうか」

「そうね。私もしっかりと休みたいし」

「セラも早く着替えを……へくちっ。この裸に近い服装じゃイフルのローブだけじゃ足りないわ」

 

 フィリアは珍しくぐったりとしており、セラは足を抱えて寒そうにしている。

 

 みんなボロボロだが、どうやら勝つことが出来たようだ。僕もどうやら無事のようだし今は早く帰ろう。


「それじゃ帰ろうか」


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