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冥獄凶醒とは

「クロノちゃん。どうやらこいつが、探していた冥獄凶醒(めいごくきょうせい)で間違いないわね」

「うん! ようやく見つけたぞ!」

 

 フィリアが手に持つ光石は黒く変色しており、その黒さはこれ以上ないほどまで黒色に変化していた。


「アルチベータ様。申し訳ございません。僕たちではあの人達を倒すことが出来ません」

「ごめんなさい」

 

 うなだれてしまいいつもの元気が見られない二人を見たアルチベータは、いつもよりも優しく話かける。


「平気ですよ。二人は頑張りました。今回はつい負けてしまったようですが、後は私に任せて先に行っていなさい」

「ありがとうございます。でもセラはどうするの?」

「セラは私と一緒に行きますので、先に行っていなさい」

「分かりました。アルチベータ様。行こうメレル」

「うん」

 

 二人が手を取り合って部屋から出て行くのを見届けようとしたその時、その背中を狙い済まして氷弾が襲いかかるが、瞬時にアルチベータはその氷弾を打ち砕く。


「二人には手だしさせませんよ」

「ちっ。さすがに無理か」

 

 氷弾を放ったフィリアは不機嫌な態度を取るが、それほど期待した攻撃ではなかったので切り替えて、アルチベータと対峙する。


「あんた冥獄凶醒でいいのよね」

「ええ、そうですよ」

「なんであの二人を逃がした」

「それはもちろん。私が戦っている姿を見せたくないからですよ」

 

 アルチベータはさも当然のように言ってはいるが、二人を逃がしたので戦況としては三対一であり、その三人はほぼ全快の状態である為、戦力差としてはクロノ達が優位である。


「随分と余裕ね。それともあんたも逃げる算段ができているのかしら?」

「いえいえ、逃げることなどいたしません。そんなことをする冥獄凶醒など、ヴェドぐらいしかしいないでしょう。それに私達、冥獄凶醒は人間がだぁい好きなので、あなた達も私と一緒に暮らしませんか?」

「お断りよ!」

 

 フィリアは吠えるように叫ぶと、氷弾を生成しアルチベータを狙って放ち続け、その場所に数十発の氷弾が放たれたが、この戦場にいる者達はそれで倒せる相手ではないと知っている為、周辺の冷気が落ち着くのを待ち続けていたが、先にアルチベータはその冷気を振り払って現れる。


「つめたいですね。温かいのがほしくなります」

「それではとっておきの、あつーいのを送って差し上げます!」

 

 フィリアの氷弾に続いて、イフルもアルチベータに対して得意の奇跡である火球を生成し、フィリアと同じように放ち続け、アルチベータに休む暇を与えず、追撃し攻め続けたがその場所に居続けたアルチベータは、未だ余裕の表情で三人を見据える。


 「うふふ。あの二人が勝てない相手だと聞いていたので、どの程度か知る為に攻撃をつい受けてしまいましたが、特別強い攻撃ではなかったですね。ということはお二人にはまだ手段があるのですか?」

 

 火球と氷弾を与えたがアルチベータはほぼ無傷で立っており、その現実にイフルは眉をひそめた。


「な、何ということでしょうか。あれ程の攻撃を受けてもまだ余裕とは信じられません」

「イフル。相手はそれほど強力だけど、まだ負けた訳じゃないから気持ちをしっかり持っておくのよ」

「分かっていますが、これ程とは」

「そうよ。冥獄凶醒っていうのはそれほどの相手なの。でもね、こっちだって負けていないし、それにこっちにはまだクロノちゃんがいるんだから!」


 その期待に応えるように、クロノは力を溜めて攻撃に出る。

 

「はああああああああッッ‼」

 

 二人の攻撃に続いてクロノが使徒の力を解放し、長剣となったコクウを振るうが、あともう少しのところで何かによって攻撃を阻まれ為、反撃される前に距離を取る。


「ふふ、二人のまだ未成熟な美少女に、セラさんの大事な人であるブラックスターさん。皆さんとても魅力的で三人共つい欲しくなってしまいますわぁぁああ!」

 

 アルチベータはその白い頬に手を当てて、うっとりと三人を眺めているのであった。


「うげぇ。こいつもあの気持ち悪い奴と同じで苦手だわ。それになんだか背中がぞわぞわしてくるわ」

 

 フィリアは表情からも分かるように拒絶を示しており、それは二人も同意であった。


「確かにそうですが、あのクロノ様の攻撃を防いだのでしょうか?」

「今は分からないけど絶対に何かあるはずだから、二人共注意して戦おう!」

 

 クロノの攻撃はアルチベータに当たる寸前で、何かに引っかかるような感覚で阻まれたが、絶対に理由があるはずだ。それさえ分かれば、突破できるに違いない。


「それにしても皆さんお強いですね。どれも当たったらとても痛そうなので、とっても怖いです。あら、私としたことがつい弱音を言ってしまいましたわ」

 

 アルチベータは弱音を言っているようだが、その姿からして全くそのようには見えず、むしろ自身が持っている力によって余裕を感じさせる。


「クロノちゃん。ここは私とクロノちゃんであいつに攻撃を仕掛けるわよ! それでイフルは援護して」

「分かったよ。フィリアは攻撃の時に合図をちょうだい」

「援護は任せてください」

「行くわよ!」

 

 フィリアの合図に応える三人は同時にアルチベータに対して攻撃を開始し、イフルが放った火球がアルチベータに直撃した瞬間を逃さずクロノとフィリアは、アルチベータの両側から剣を振るうが、その危機的状況にアルチベータはその場を動くことなく、少しだけその口元を緩ませる。


「では私も。紅糸縛綻(こうしばくたん)‼」

 

 その声と共にアルチベータは腕を振り上げて反撃を開始する。


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