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つい、見入ってしまいました


「クロノちゃん。体が動くなら早くセラをどうにかしてあげて」

 

 フィリアの声音はどこか怒っているように聞こえたが、今は一刻も早くセラを救出しなければならない。


「うん。分かった」 

 

 クロノは気を失っているセラを見つけると、幸運にも目立った外傷はないので、すぐに右手をかざしてセラの救出を開始する。


 右手を当てられたセラは、苦しそうな声を出すと、体から一匹の黒い羽虫が現れ、虫は逃げようとするが、すかさずクロノは虫を瞬殺し、セラを見てみると表情も穏やかに見え、右目に刻まれた刻印も元の姿へと戻っていた。


「よし! これでセラはもう問題ないはずだ!」

「これで一つ片付いたわ。後は冥獄凶醒だけね」

 

 フィリアは手に持っている白剣をしまうと、周辺を確認する。


「フィリア。僕が飛ばされてからそっちはなにがあったの?」

「こっちはあの二人が襲って来たから戦闘になって、私がここに来たのもその戦闘の結果で、上手くあの青目が回避したから結局、壁を破壊することになっちゃったけど、クロノちゃんと合流できたし、セラの救出も無事終えたからいいとするわ」

「やっぱりあの二人と戦闘になったんだね。ところでイフルさんはどうしたの?」

「イフルはあの部屋に残っているわ」

「え⁉ そうなの! そうしたら早く加勢しに行かないと!」

 

 クロノはイフルの加勢に向かおうとした時、目に前に針が投げ込まれたので、コクウを抜き取り、弾き飛ばす。


「うっわー。さすがはブラックスターさんだね。あれを防いじゃうんだ」

 

 声の主はフィリアと戦闘していた思われるコロンであった。


「あんた。暗殺下手くそなんじゃないの」

「いやいや、ブラックスターさん達が強すぎるだけですよ。今のだって完璧に仕留めたと思ったのに回避するんですから」

 

 コロンは残念そうに話しているが、表情からはまだ余裕が見られている。


「それにしては、まだ余裕がありそうだけど?」

「そうですか? 僕としては結構辛いんですよ」

 

 コロンは床へ着地すると、その反動を利用してその拳をフィリアに打ち込もうとするが、その充分過ぎるほどの距離により、フィリアの白剣で対処されそのまま弾き飛ばすと、コロンはくるくると空中で勢いを抑えながら態勢を整えて着地する。


「うん! やっぱり無理だね。僕じゃ赤髪のお姉さんに勝てそうにないや」

 

 コロンは笑いながら諦めの言葉を吐いているのだが、なぜその振る舞いが出来るのかクロノは理解出来ずにいると、さらにもう一人部屋に乱入する。


「ち、金髪めんどうくさい」

 

 部屋に入って来たのはメレルであり、その服は全体がすすで汚れており、服の一部が焦げていた。

 

 そのメレルを追うようにして、コツコツと靴の音を立てながらメレルをそのようにしたイフルがメレルに対抗するように言い放つ。


「めんどうくさいとは、酷いじゃありませんか。それにここは戦場ですよ」

 

 クロノにも見覚えがある大鎌を手にして、メレルとは対照的にほぼ無傷のイフルが加わり戦力が整う。


「さて、こっちは全員揃ったけど、そっちはもう終わりなわけ?」

「どうなのでしょうか。僕たちも正直加勢が来て欲しいですが、誰かきてくれませんかね」

「コロン。メレルがいるからへいきだよ」

「そうだね。メレルがいるから平気だね」

 

 コロンはメレルの髪を撫でると、嬉しそうに表情を緩ませる。


「あなた達、戦う気が無いなら投降してくれませんか。そうすれば、痛い思いもしなくて済みますよ」

「いやー。それは出来ませんね。それにほらっ、そこ気をつけた方がいいですよ」

「イフル、危ない!」

 

 とっさの判断でフィリアが奇跡をイフルに当てて、その場所から非難させると、集中攻撃がイフルの立っていた場所に降り注ぎ、その場所にゆらりと人影のようなものが現れる。


「アルチベータ様遅いですよ!」

「アルチベータ様助けて―」

「ごめんなさい二人共。つい見入ってしまって遅れてしまいましたわ」

 

 アルチベータはその姿を現すと、助けを待っていた二人を抱きしめると、二人もアルチベータを抱きしめ、お互いに抱擁し合うのであった。


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