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ブラックスター4


「それではセラがなぜブラックスター様を好きになったのかを、恥ずかしながら紹介させてもらいますね!」

「う、うん。よろしく」

 

 セラは目を輝かせながら、口元をにやけさせて、その想いを語り始めたが、クロノは聞いているように見せかけて全く聞く耳を持たず、気にせず状況を整理することにした。

 

 とりあえず屋敷には潜入したが、フィリア達とはぐれてしまった為、セラを救出する役目は、僕にまわってきたのだが、体が動くまでになんとかしなければならない。

 

 セラも見た感じでは刻印以外、特に変わった気配は見られないので安心できたが、このまま黙っていれば、間違いなく状況は危うくなる一方だろう。

 

 状況を打破する為に、今も目を瞑って、これからどうするか考えていると、


「ブラックスター様? 聞いていますか?」

 

 セラの問いかけに気づき、曖昧な返事をする。


「うん。聞いているよ。それで次は何を話してくれるの?」

「次は、ブラックスター様の今後の成長についてセラが考えていたことについてお話しますね」

 

 セラはと小さく息を吸ってから先ほどと同じように再び語っているのだが、あまり聞きたくもないので、放っておくことにした。

 

 (まがつ)となったセラとはいえ、本当は聞いてあげたほうがいいのだが、ブラックスターの話は僕にとってむず痒い話なのだ。

 

 今までこのように持ち上げられることが無かったため、こういった慣れていない境遇に、自分でも照れてしまっている。その為、今後調子に乗らないためにも聞かない方がいい。

 

 そういえば、凶になった状態については、元に戻った後でも覚えているから、セラも後で苦労するだろから、出来るだけ助けてあげないと。

 

 それに今は、この状況もそうだが、冥獄凶醒らしき姿が確認できていない。恐らくコロンとメレルの二人の(まがつ)がいる事からしてどこかに隠れているはずだが、いったいどこいるのかと探っていると、急に下あごがくすぐったく感じたので目線を下げて見てみると、セラの右手が僕の下あごを撫でまわしていた。


「ブラックスター様? 今の話どうでしたか?」

「とても、興味深かったよ。それで次はどうなるんだい?」

「つ、次ですかっ! 次は! 二人のこれからについてです!」

「ふーん。二人のこれからついて……二人について?」

 

 セラは声音やその表情からして先ほどよりも興奮しているようにも感じられるが、これからの二人についてという言葉にピンとこないクロノは、その言葉を二回口にして言葉の意味を考える。


 僕とセラはお互いに得意分野を教え合う関係だけど、今のセラは(まがつ)であるから、二人のこれからっていうのはもしかして……。


「ではブラックスター様。私も準備をしますのでお待ちください」

「セ、セラもう少し……」


 ようやく言葉の意味を理解したクロノは、すでに遅しと思いながら、なるべく焦りを見せずに会話を続けようとしたが、次の行為へと進もうとしているセラには届かなかった。


 このままだといろいろとマズいと感じたクロノは、この状況をどうすればいいと迷っている間にセラは銀の後ろ髪を整えて、羽織っていた服を脱ぐと下着が見えてしまっている透明の衣装を着ており、とても魅力的に媚態を示しており、クロノはそのフィリアと違う性的魅力に、思わず釘付けとなってしまう。


「きれいだ」

 

 その言葉は本心から出て来たもので嘘偽りは一切無い。ただ残念と言えば、その姿がこのような状況で見てしまった事ぐらいだろう。

 

 セラは嬌笑しながらクロノを見下ろすようにして立ち上り、


「ブラックスター様。これがセラの全てでございます。そして今からセラとブラックスター様は一つになります」

「あ、セラ! むぐっ」

 

 セラは膝をついてクロノの体に合わさるように重ねると、その潤った唇をクロノの唇に当てる。その口付けは数十秒間続きセラは待ちわびたその時を堪能し続けた。

 

 この時クロノは心臓が飛び出してしまいそうな鼓動を感じながら、これ程の愛情を受けてしまったため、先ほどまで存在していた感覚がマヒしてしまい、抗おうとしても抗うことが出来ないその甘美な誘惑に、身を任せようとした時だった。

 

 部屋が微かに揺れたかと思うと、また続いて部屋が揺れる。その揺れが少しずつ大きくなってくるとともに、ドンと衝撃音が近づいて来たと感じた時にはすでに遅かった。

 

 突如発生した衝撃壁によって破壊されると同時に、爆風が二人に襲い掛かり吹き飛ばされる。


「うぉおおあああ!」

「きゃあああああ!」

 

 壁が破壊され二人はベッドから吹き飛ばされるように落ちてしまい、クロノは自分の力でゆっくりと体を起こして目の前を見ると、そこには白剣を携えたフィリアが凛として立っていた。


最後まで読んでいただきありがとうございます! 引き続きブックマーク、評価、感想をお待ちしております!

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