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いざ屋敷へ

「おきゃくさま? 用件をおしえて?」

 

 イフルはコホンと咳をして声を整えて、少女にこの場所に来た目的を話し出す。


「私達はブラックスターをこの場所へと案内し、報酬を受け取りに来ました」

 

 目の前にいる赤い目をした少女からは今のところ敵意は感じられないが、ここにいるということは、この少女も(まがつ)である可能性が充分考えられる為、クロノ達は刺激しない様に警戒しつつ対応する。


「ふーん。あのクエストもうおわっちゃったんだ。それで、そこの黒い男がブラックスターなの?」

 

 赤目の少女はじろりとクロノを見つめてその細い指をクロノに向けて指す。


「そうだけど、僕はここに連れて来られてどうなるんだい?」

 

 あくまでクロノは二人によって連れて来られたという設定に基づいて演じている為、ここではセラを救出しに来た使徒ではなくブラックスターとして演じている。


「しらない。しょうじきどうでもいいから」

 

 ぷいっと少女はクロノから顔をそらして不機嫌な態度をとる。


「知らないのはいいけど、早く中へ案内してくれるかしら?」

 

 不機嫌だろうが何だろうが、知るかと言わんばかりに、目の前にいる小娘のことなど気にしないフィリアは語気を強めて物言うが、少女は怯むことなく目を細めて対抗するように話し出す。


「だめ。この中へは入れない」

「それは出来ないわ。私達は冒険者の端くれだけど、せっかく報酬を頂くのだから、挨拶ぐらいはさせてほしいわ。ねぇイフル」

「イフルもそう思いますわ。フィリア姉さま」

「それにこちらとしてはリグさえ手に入ればいいから最悪、奴隷商にでも売ってもいいのよ?」

「んんんん。べつに売ってもいいけど、そうしたらアルチベータ様がどう思うか心配」

 

 少女は唸りながら発したアルチベータという単語に三人は同時に反応した。この少女が凶であるのであれば、そのアルチベータは冥獄凶醒(めいごくきょうせい)であるに違いない。そう思った時だった。急に少女の隣にクロノと同じぐらい背丈のある少年が現れる。


「メレル。その冒険者さん達がお礼を言いたいのであれば、入れてあげても平気だよ」

「でもコロン。ここはしらない人は入っちゃダメって」

「それもさっき確信したから平気だよ。それにセラの大事な人を連れて来た人達だから連れ来て直接お礼が言いたいってセラも言っていたし、きっとアルチベータ様も喜ぶよ」

「むぅ~。セラ、やっぱり嫌い」

 

 メレルは頬を膨らませてまたしても不機嫌な態度をとる。


「メレル。セラは大事な僕たちの家族だよ。だから仲良くしないと」

「でも、セラが来たせいでつまんない」

「今は仕方ないよ。それにメレルには僕がいるじゃないか」

「むぅ~。そうやってコロンはいうからズルい」

「ははっ、そんなメレルも可愛いよ」

 

 ふてくされるメレルの頭を撫でながら機嫌を取るコロンを、三人は門の外から眺めており、その姿に早く中へと入りたいフィリアは痺れを切らした。


「あなた達いつまで話しているつもりなの?」

 

 語気を強めて、勝手に始まった兄弟仲を見せつけられる側としては、ただただつまらないと態度で示したフィリアに、コロンが愛想笑いを浮かべながら、謝罪を述べる。


「ごめんさない。赤髪のお姉さん。それでは、三人共中へお入りください。僕が屋敷まで案内させて頂きます」

 

 少年が指をパチンと鳴らすと門が開き、少年と少女は奥へと進みだし、三人はその後を追うようについて行く。

 

 クロノが最後に門の中へと入ってから、後ろを振り返ると門は自然に閉まり後戻りは出来なくなっていた。


(セラ待っていてね。絶対に助けてあげるから)

 

 クロノは絶対にみんなで戻ると心に誓い、セラと冥獄凶醒が待つ屋敷へと歩を進めるのであった。


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