不気味な雨宮さん
翌日、俺は席が隣の奴に話しかけた。
「なあ、闇の生成師って知ってる?」
「え? 知らない……」
いきなり話しかけられて、目が泳がすクラスメイト。
髪の生成師で検索をかけたら出るんだから、みんな知ってると思ったのになー。
そこで、俺はクラスメイトの雨宮に睨まれた。
クラスで一番で、いや、学年で一番きれいな子だけど、冷たい表情から残念そうな性格をしているのが分かる子だ。
な、何なんだよ!?
授業が終わって部屋に戻り、アプリを開くとメールが届いていた。
「闇の生成師の話をするな!!」
運営からメールの送り主が告げられており、fromカエデとなっていた。
まさか、雨宮がカエデなのか!?
その日の晩、俺は完成したサンド・ゴーレムの半分を人間の政治家に売却し、新しい材料を残りのサンド・ゴーレムに拾いに行かせた。
売却して得たコインは城の保持する魔物の材料の人間を購入するのに使う。
ゲームいわく、この人間は生成用に加工されており、既に生きていない上、天使が認印を押したものらしい。
罪人の刻印というらしいけど、何か悪い事をして、そういう運命なのか……。
やっぱりかなりダークなゲームだった。
翌日、俺は雨宮に話しかける。
「なあ、雨宮がカエデなのか?」
「白井、屋上で話そう」
俺は雨宮に腕を引っ張られて、教室を出た。
猫みたいな爪が腕に食い込んで痛い。
クラスメイトらは好奇のまなざしで、俺達を眺めていた。
だが誰も追ってこない。
そのまま、昇降口を出て、階段をのぼり、屋上に到着した。
「私がカエデだ。あのゲームに人間は参加できない」
「え? 何それ!?」
「前世が悪魔の奴しか参加できない」
「や、止めてくれ!!」
「おまえの親は教えてくれなかったのか? まあ一般的には隠すものらしいな。アヤメ達も知らないようだった」
「アヤメ達って、どうなってるんだ?」
「おそらく、私たちと同じような生活をしていて、何も知らない。だから、こうやって、ゲームからスタートするわけだ」
「げ、ゲームからスタートって何なんだ!?」
「そのうち、あのゲームが日常世界になる」
「そんなバカなことがあるはずが……」
「ある」
無表情、冷たい色の瞳で見据えられ、言い切られる。
雨宮は頬に落ちてきた雨粒に、空に視線を向けると、屋上からさっさと立ち去った。
そんなバカな……。
人間が魔物の材料なゲームが、日常世界になるなんて……。
ありえない!!
本格的に降りだした雨に打たれながら、俺は呆然と立ち尽くしていた。
雨宮は不気味な女だった。