芸術コレクション4
「さ、着いたぞ」
吉野先輩に声をかけられ、車から降ろされたのは廃工場らしき場所の前だった。
どうも、PC関係の会社らしきメーカーの名前が工場の壁に記されている。
「ここ、内海先輩の家?」
俺は内海先輩を見つめて尋ねる。
内海先輩は意地悪く笑った。
「本当に、困ったお姫様だなー」
先輩たちは俺の反応を面白がって、ニタニタと笑っている。
俺は辺りを見渡してみたが、辺りは廃工場らしき場所ばかりで、民家らしきものはない。
「さ、行くぞ」
俺は内海先輩に力任せに引っ張られて、廃工場の中へと連れ込まれた。
一緒に、原田も連れ込まれる。
「……やめてくれ、もう赦してくれ!!」
原田は涙声で叫ぶが、唇を手で押さえつけられる。
「少し大人しくしていてもらおうか」
そのまま、原田は吉野先輩に押さえつけられたままになっていた。
乱暴な子供に無理やり捕まえられたうさぎみたいだった。
俺は内海先輩に、廃工場のロビーに置かれたソファの所に連れていかれる。
モスグリーンだったと思われるソファは埃をかぶって、グレーに近い色に変色していた。
そのまま、ソファに座らされる。
「本当に可愛らしいお姫様だな。コレクションにしたら、すぐに傷んで捨てなければならん。しばらくこの辺りで飼ってみようか」
「おい、本気か!?」
「その前に味見しといたらどうだ?」
「そうだな……」
「……?」
びりっと音がする。
俺の灰色の制服が引き裂かれた。
え、まさか!?
「な、何する気ですか!?」
「もちろん、味見だよ」
俺のブレザーは投げ捨てられる。
そのままばさっと音をたてて廃工場の床に広がった。
「まさかっ!? やめて下さい!」
「嫌だね」
内海先輩の声が廃工場内に冷たく響きわたった。
こんな場所で、助けを呼んでも、誰も来てくれるはずもなく……。




