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芸術コレクション1

 美術の授業の後、ひとけのない化学室から吉野先輩は出てくるのが見えた。

 上級生なんだけど、会釈する必要がないほど遠いと思っていると、続いて1年B組の原田が出てくる。

 原田は具合が悪そうに腹を押さえ、廊下の壁にもたれかかる。

「……原田? 具合悪いのか?」

「……別に。ほっとけよ!!」

 原田は腹に置いていた手を隠すように横にやり、さっと階段をおりていってしまう。

 ……どうしたんだ?

「やあ、白井君」

 ふと振り返ると、吉野先輩が笑みを浮かべて真後ろに立っていた。

「今は一人なんだね?」

「別に俺、雨宮にも石田先輩にも、友達だとか思われていないみたいです」

「そうなのかい。寂しいね……そうだ、内海の絵の現物を観てみたいと思わないかい?」

「え? 観れるんですか?」

「放課後に、裏門の所で待ってるよ。内海も呼ぶから」

 そう言うと、吉野先輩はさっと踵を返して、階段を駆け上がっていった。

 俺のそばに雨宮がやってくる。

「今、吉野がいなかったか?」

「え? ああ」

「何か情報は?」

「何も」

「そうか……」

「あのさ、原田って生徒会と関連があるんだっけ?」

「? 原田……? 来期、生徒会役員に立候補でもする気なのだろうか……調べておこう」

 それで、俺と雨宮の会話は途切れた。

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