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紫陽花たちの内緒話

 俺、カエデ、コウヨウの三人は西館のエントランスに集まり、西館の庭に移動しながら話した。

「さっきの……プレートは見たな?」

「ああ……」

 カエデの言葉に、コウヨウは重々しげにうなずく。

「犯罪者の刻印って聞いたな。ゲーム通りだ」

「僕……このゲームが怖くなった……」

「そんな事を言ってる場合じゃない。もし、あじさいに連続少年殺人の犯人がいたら、そいつを自主練で使ってしまうかもしれないんだぞ!!」

 カエデの言葉に俺たちは青ざめる。

 俺は言葉もなく、どうすればいいのかカエデやコウヨウの言葉を待った。

「どうすればいいんだよ?」

 コウヨウは感情を乱しきった様子で、激しい身振りで尋ねる。

 その声は乾ききっていた。

「城にいる間は、生成師らから、情報収集。あじさいにいる間は、学園から情報収集。城は……私はユイをあたってみる。コウヨウはレイからプレートの情報を聞き出せ。ナツキは……ミレイぐらいしかないか……」

「ヒスイさんから、もしかしたら、何か聞き出せるかも……」

「ならば、ヒスイとミレイからだ。あじさいは……生徒会室は私が行くのが無難だろうな。ナツキは職員室、コウヨウは保健室でいいな? 周りの奴らがしゃべっている情報を聞き出すんだ。誰かが逮捕されたといった情報を。後は、ネットや新聞などで今回の犯人が逮捕された情報が出ていないか、調べる」

 コウヨウは震えながら尋ねる。

「で、どうするんだ?」

「私たちの世界紅い月の世界では、死刑囚は天界を経由して、魔界送りにされているとゲームでは設定されていた。逮捕され死刑確定、或いは死亡した場合、天界に送られ、天界が罪を事実と認めればその時点で犯罪者の刻印が押される。最近、法改正で判決がはやいからな」

「や、やめてくれーッ!」

 コウヨウは、半泣き状態。今にも目から涙が零れ落ちそうに光っていた。

「プレートを見るんだ。罪人の刻印が押された日と月のカラーが一致しそうになったら……逃げる」

「鶯谷の奴らは知らせなくていいのかよ!?」

「知らせない方がいい。もしかすると、プロの生成師用と、候補生用の棺おけは別の場所にストックされているかもしれないのだから。その場合、誰かが消費しなければならない」

 しょ、消費って……。

「そんな……」

「大丈夫だ。棺おけに入っているし、あじさいの有名人が犯人であろうと、あいつらは知らないだろう、多分」

「多分なのかよ!?」

「ならば、おまえは毎日、自主練をする度胸があるのか?」

「ない!!」

 そこは、即答なんだな、コウヨウ。

「ナツキはどう思う?」

「とりあえず、調べてみないと何とも言えない……城で情報を集めよう」

「では、さっそく、情報を集めよう。それと、集まった情報は三人だけで共有する。いいな?」

「わかった」

「とりあえず、三人で話し合って決めよう」

 こうして、俺たちは城に送り込まれてくるかもしれない、ジョーカーを誰が引くのか分からないまま、自分たちが引かないよう、他の誰かが引いても一生黙っているつもりで、情報収集を開始した。

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