レイネシアは優等生
[アリシアさん]
銀髪、出来る女のオーラがある才女。
ユーストン伯爵家の優秀な若手メイド。
[ハーマイオニー]
若葉色の緩フワな髪、大人しい十歳の少女。
孤児院に身を寄せている。読書好き。
[シャルロット]
茶髪をショートカットにした、十歳の少女。
孤児院に身を寄せている。元気いっぱいで良い子。
[クリスティアナ]
薄紫の髪、九歳の女の子。孤児院に身を寄せている。
メイドとしての才能がある真面目な子。
[レイネ(レイネシア)]
水色の髪、十二歳の少女、双子の妹。
少し訳アリで、孤児院に身を寄せている。少し天然入り。
[ライラ]
ピンクの髪、レイネと双子の姉。
少し訳アリで、孤児院に身を寄せている。大人しくて真面目。
* * * * *
街外れにある修道院の、その裏側にある孤児院。
その孤児院の建屋の一階にある、質素で老朽化はしているが清潔に保たれた明るい食堂。
ニコニコと微笑みながら、アリシアさんがパンパンと手を叩く。
「はあ~い、皆さぁん。 注目!」
賑やか且つ和やかに和気あいあいと会話していた、シャルロットとクリスティアナとハーマイオニーが、アリシアさんの方を向く。
「「「はぁ~い!」」」
姿勢良く椅子に座っていたライラは、窓の外を眺めているレイネの袖を軽く引く。
「レイネ」
「はい、姉さま」
不思議そうに、レイネの顔を見るライラ。
「あんなに楽しみにしていたのに、どうしたの?」
心底残念だという心情を態度で示しながら、ライラの顔を見るレイネ。
「座学は、つまらないです」
ポツリと言って、可愛く口を尖らせる。
「いつも姉さまに教えて頂いている事と、同じですもの」
教壇代わりの台の前に立ち、子供たちを見回すアリシアさん。
「それでは、次は、メイド業務の実習を行います。誰か、私のお手伝いを...」
「はい! アリシア先生、私がお手伝い致します」
元気よく、ビシッと右手を挙手して真面目な表情をつくるレイネ。
無言でかつ無表情に、そんなレイネを見るライラ。
「...」
何やら感心したように、控えめにうんうんと頷くアリシアさん。
「では。レイネシアさんにお願いしましょう」
優雅かつお上品に、スッと立ち上がるレイネ。
「姉さま。レイネは、将来、メイドさんになりたいのです」
レイネは、右手でグッと、小さくガッツポーズしながらライラを見る。
「練習した後の、砂糖とミルクをたっぷり入れた紅茶と豪華なお茶菓子は、最高なのです」
ライラは、心の中で盛大に突っ込みながら、無表情に微妙な呆れを滲ませて、ブツブツと呟いた。
「いやいや。メイドさんは、用意して配膳するのがお仕事で、飲食はお仕事でないから...」




