レイネシアの野望 後編
[アン(アンジェリカ)]
金髪、碧眼、白い肌。十四歳の少女。
孤児院に身を寄せるが、半端ないヒロインのオーラあり。
[ウォルター]
アンの幼馴染であるエドの父親。
A級冒険者で、腕は立つ。孤児院の護衛仕事を請負中。
[レイネ(レイネシア)]
水色の髪、十二歳の少女、双子の妹。
少し訳アリで、孤児院に身を寄せている。少し天然入り。
[ライラ]
ピンクの髪、レイネと双子の姉。
少し訳アリで、孤児院に身を寄せている。大人しくて真面目。
[シャルロット]
茶髪をショートカットにした、十歳の少女。
孤児院に身を寄せている。元気いっぱいで良い子。
* * * * *
街外れにある修道院の、その裏側にある孤児院。
その敷地内の、細い路地に面していて頑丈な木戸が設けられた小ぢんまりとした庭。
孤児院の通用口である木戸の傍には、自然体で立ち番をしているウォルター。
「...」
その木戸が見える位置にある庭の古ぼけたベンチに座り、孤児院の二階の窓の方を見ながら困惑の表情を浮かべるアン。
「...」
アンの横に座って、いつも通りにツンと澄ました無表情で、静かに読書に励むライラ。
「...」
そこに、孤児院の建屋の中から、元気いっぱいに走ってくるシャルロット。
元気いっぱいに走って来ていたシャルロットが、庭のベンチの手前で、こけた。
「あっ」
それに気付いたアンが、駆け寄る。
「シャルロット、大丈夫?」
アンの手を借りて起き上がったシャルロットが、元気に頷く。
「はい! 大丈夫です」
そんなシャルロットに微笑みかけながら、安堵の表情のアン。
「よかった。女の子なんだから、もう少しお淑やかに...」
「あああああっ! おじ様、見ぃつけたぁっ~」
孤児院の二階の部屋の窓で、レイネの可愛らしい雄叫び(?)が響いた。
ドドドドドどどっ、という凄い勢いで、レイネが走ってくる。
「姉さまっ! 今がチャンスですっ」
本を読む姿勢のままのライラが、あっと言う間に、庭の木戸を抜けて表通りの方へと、レイネに引き摺られて行った。
「???」
「「「...」」」
アンとシャルロットは目を点にして見送り、ウォルターは右手を差し出した体勢で、固まっていたのだった。




