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レイネシアの野望 前編


[アン(アンジェリカ)]

  金髪、碧眼、白い肌。十四歳の少女。

  孤児院に身を寄せるが、半端ないヒロインのオーラあり。

[エド(エドワード)]

  アンの幼馴染の男の子。

  アンに好意を寄せているようだが、モブキャラの雰囲気が漂う。

[ウォルター]

  エドの父親。

  この街の一部では有名なA級冒険者、腕は立つ。孤児院の護衛仕事を請負中。

[レイネ(レイネシア)]

  水色の髪、十二歳の少女、双子の妹。

  少し訳アリで、孤児院に身を寄せている。少し天然入り。

[ライラ]

  ピンクの髪、レイネと双子の姉。

  少し訳アリで、孤児院に身を寄せている。大人しくて真面目。


 * * * * *


 街外れにある修道院の、その裏側にある孤児院。

 その敷地内の、細い路地に面していて頑丈な木戸が設けられた小ぢんまりとした庭。



 孤児院の通用口である木戸(きど)(そば)には、自然体で立ち番をしているウォルター。

「...」

 その木戸が見える位置にある庭の古ぼけたベンチに座り、修道院の方を見ては溜息をつくアン。

「院長先生、お元気になるかなぁ...」

 そんなアンの(そば)に陣取っていながらも、地面に向かって陰気にぶつぶつと(つぶや)き続けているエド。

「俺は役立たず、役立たず、役立たず...」

 そんな二人の少年少女からほど近い位置にある庭の樹に(もた)れ掛かり、無表情に何やら考え込んでいる様子のライラ。

「この街を治める領主は、確か...」

 そんなカオスな空間に、ニコニコとご機嫌の笑顔で、レイネがやって来た。


 アンとエドに、変化は無い。特にエドは、(さら)なる深みへと、絶賛、落ち込み中。

 ライラは、すぐにレイネに気付いて、極々(ごくごく)微妙に表情を変化させた笑顔となる。

「ご機嫌ね。レイネ」

 レイネは、にっこりとライラに笑いかける。

「うん! (ねえ)さまが幸せなら、レイネも幸せよ」


 ライラが、意味不明なレイネの言動にも慣れた様子で、平然と(たず)ねる。

「そうなの?」

 レイネが元気に、大きな声で、宣言する。

「うん。姉さまは、先刻(さっき)のおじ様を口説いて、良家の奥様になるの!」

 アンとエドが、同時に、鳩が豆鉄砲を食ったような表情(かお)になり、振り向いた。

「「へ?」」


 レイネが、いきなり、ポン、と手を叩いたかと思うと急に(きびす)を返す。

「そうだわ。おじ様がこちらに来られたら、確保しなくちゃ!」

 ライラは、少しの呆れが混じった鉄壁の無表情で、レイネを見送る。

「...」

「「...」」

 アンとエドは、頭上にハテナマークを浮かべて、レイネが先程まで居た場所を見つめていたのだった。


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