体力測定
今日は体力測定の日。
新人君にとっても大切な日となる。
と言うのも僕が面倒見ている同居人、海守 船秀君は性転換仕立ての男子。
まだ、男子の体に疎いのだ。
段々、男子の体になれてくると思うのだがまだ日が浅い。
ちょっとしたことで女子が出てしまう。
そして、女子と男子の違うところが体以外にもう1つある。
まぁ、実際には体のことでもあるのだけど普段は気づきにくいところ。
つまり体力だ。
僕ら性転換男子は女子だった時の脂肪がそのまま筋肉に置き換わる。
全てではないのだが。
だから筋力も1割から2割アップするのだ。
性転換仕立ての時は結構これにビックリする。
僕も性転換仕立ての時は力の加減に困っていた。
少し力を入れただけで結果が全然違うからだ。
力の入れ具合に苦労してた時を思い出す。
だから後輩君も苦労しているのだと思う。
僕には言わないが。
さて、今日は一日つぶしての体力測定。
僕らにとってはそれだけ大変な一日なのです。
僕は登校してすぐ後輩君の着替えを手伝った。
いい加減男子の体には慣れてほしいものだ。
未だに自分の体を直視できないのだとか。
だから僕の負担はでかい。
クラスメートからは甘やかしすぎともからかわれているがこれが委員長の役目だと自分に洗脳しやっている。
とにかく割り切っているのだ。
でなければ男の着替えを手伝いたいとも思わない。
早く独り立ちして欲しいと思っている。
着替えが終わるといつも通り担任が教室に入ってきた
担任は
「いやぁ〜、若いって良いね。
みんなかっこいい。
いや、これには他意は無いよ。
俺は普通に女の子が好きだから」
そう言うと余計に怪しいのだが。
担任は続けて
「今日は大事な体力測定の日。
気合い入れていこう。
今日初めて挑むものもいると思うが女子の時と結果は大分違うと思う。
それも性転換の効果だ。
それも含めて自分を受け入れるように」
僕は3回目だけど後輩君は初めてだ。
いろいろとフォローしようと思う。
と言っても後輩君は呑気なもので
「すげぇ〜、イケメンが一杯だ」
と目を爛々(らんらん)と輝かせていた。
かなり話し言葉は男言葉になってきたが中身は乙女そのもの。
クラスメートにはその顔を覗かせないがルームメイトである僕にだけその顔を見せる。
あ、言っておくけど僕は女の子が好きで男子には一切興味が無いから。
(性転換前の)女だった時も含めて。
と言うことでまずは握力検査。
後輩君は
「凄い、前、計った時よりも10キロ以上も上がっている」
と感嘆していた。
僕も最初の時、5キロぐらい上がっていたからビックリした覚えがある。
ていうか、後輩君もとの握力もそうだけど僕より力あるんじゃないか。
あまり怒らせないように努力しようと心の中で思った。
次は反復横跳び。
まずは僕の番。
なんとなくそつなくこなした。
後輩君は
「凄い、凄い委員長(主人公)!!」
と歓声の声を上げていたが後輩君は凄かった。
僕の記録を軽く上回り10回以上の記録。
僕はかなりビックリした。
ある程度の競技を終えた後僕は後輩君と話した。
「海守君は凄いね。
性転換仕立てなのにどれも僕の記録を上回るから。
なんかスポーツやっていたの?」
と聞いてみた。
後輩君は
「別に特定のスポーツはやっていないよ。
ただ、体を動かすのが好きだから時々部活の助っ人としてやっていたかな」
普段、本ばっかり読んでいる僕とは訳が違う。
僕なんかは体を動かすこと自体面倒い方だから彼の生きていた世界が眩しくともある。
昼休みが終わり午後の測定に入った。
その前に体力測定が何で1日がかりなのかを説明しよう。
それは男子としてのコミュニケーションの研修も兼ねているからである。
普段はしゃべらない先輩方とも話す機会なのだ。
ていっても僕は後輩君につきっきりだから後輩君としか話せないでいるけれど。
僕は器用ではないから一気にいろんな人と話すという課題は苦手なのだ。
内向的な性格もあるのだが。
話を戻そう。
午後の測定は持久走からだ。
女子と男子とは距離に違いがある。
女子は1000メートル、男子は1500メートル。
つまり女子の時よりも500メートル長いのだ。
この500メートルが絶望の長さ。
正直、このときだけ女子に戻りたい。
後輩君も
「なんで男子は500メートル長いのさ。
不公平だ」
と憤っていた。
そして実際に始まると後輩君は猛烈なスピードで走り始めた。
ペース配分がおかしい、そう僕は思った。
でも、結果は後輩君が僕よりも一分以上も速くゴールしていた。
そして後輩君に
「委員長、普段からもう少し運動したら」
と心配されるほどに遅かった。
そして30分ほど休んでから50メートル走、シャトルランと続いた。
この学校はおかしい。
何で午後に走る系がこんなに続くんだ。
僕はそう思っていた。
まぁ、実際は僕が走るの苦手なので後回しにしていただけだけど。
今日もつつがなく1日が終わった。
とにかく今日は疲れた。
それにしても後輩君がこんなにも体力があるなんて思わなかった。
先輩として威厳を保つためにも僕も少しでも体力を付けないとと心に決めた。
明日から何らかの運動をしよう、そう心に決めて床に就いた。
結果は三日坊主だったけれど。




