【アンドロイド】
アンドロイドは悩んでいた。
理由は自分が乗っていた宇宙船が壊れてしまったからである。
僕は一体これからどーすれば良いのだろう。誰か助けに来てはくれないのだろうか。
彼は他の惑星へ行き、その惑星にしかない特殊資源を自分の惑星へ持ち帰る為のアンドロイドとして500年前に作られた。500年間、この仕事をやっているが、飽きる事はなかった。特別、楽しいとは思っていなかったが、それなりのやりがいは感じていた。
しかし、その日、隕石と衝突した事が原因でアンドロイドの乗っていた宇宙船は故障してしまったのである。宇宙船は無重力空間をフワフワと浮いていた。アンドロイドは宇宙船を直す為、様々な方法を試してみたが、結局、宇宙船が直る事はなかった。ハイパー通信機も壊れてしまったので、他の惑星と連絡を取る事も出来ない。困った。どーしよー?そんな、こんなで、200年の時が過ぎた。
彼はアンドロイドなので何かを食べる必要はなく、眠る必要もなかった。病気に掛かる事もなかったが、多少の修理やメンテナンスは必要であった。しかし、それらは全て自分で出来たので、生きる、という事に関してはとりあえずの問題も無かった。ただ、ずーっと、暇だとは思っていた。
更に200年の時が過ぎた。
未だ宇宙船は故障したままだが、遂にアンドロイドの体内寿命システムが0に成ろうとしていた。とはいえ、これは、充電すれば回復させる事は出来る。しかし、それを充電させる為のバッテリーエネルギーは故郷にしかない。アンドロイドは色々な事を考えたが、最後は諦める他なかった。諦めると言ったところで、彼の寿命は残り200年もあった。しかし、あっという間に100年の時が過ぎた。
残りは遂に100年となった。
もう、自分が助かる方法はないのかもしれない。
アンドロイドは覚悟を決めたが、突如、ある事が起こった。
いつもと変わらぬ窓外に見える宇宙空間に、他の宇宙船が浮いていたのである。とは言え、操作されているようには見えない。コチラと同じで故障しているのかもしれない。アンドロイドと言えども無重力空間を自由に飛び回る事は出来ないので、その宇宙船が自分の宇宙船に近付いたのを見計らい、アンドロイドは宇宙空間へと飛び出した。
宇宙空間へ飛び出し、窓からその宇宙船内を覗いてみた。中は真っ暗であった。
アンドロイドは自分の両目をサーモアイ機能に切り替え、金属の拳で窓をカチ割り、宇宙船内に入った。
しかし、自分の故郷で使われているようなものは何も無かったので、なにをどうすればどうなるかというのが全く分らずにいた。
暫くして、ふと窓の外に目をやると、自分の乗っていた宇宙船が遠くに流されてしまっているのが見えた。しまった!!……アンドロイドはそう思った。アンドロイドは慌てて自分の宇宙船に戻ろうとしたが、無重力空間では上手く進む事が出来ない。宇宙船はどんどんと離れていく。
宇宙船は遥か遠くに流されて行き、遂には見えなくなってしまった。
そして、ドチラの宇宙船に戻る事も出来ないまま、アンドロイドは何も無い宇宙空間の中で100年間漂い続けたのだった…………。
(END)